「マスク着けろ」注意され暴行の男、「けんか腰、受けて立とうと…」”今回限り”猶予刑 神戸地裁 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「マスク着けろ」注意され暴行の男、「けんか腰、受けて立とうと…」”今回限り”猶予刑 神戸地裁

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 2020年、コロナ禍での最初の緊急事態宣言解除直後、「マスクを着けて」と注意されたことに腹を立て、60代の男性に暴行し、首の骨を折るなどの重傷を負わせたとして、 傷害罪に問われた神戸市長田区に住む運送業の男(25)に対し、神戸地裁は17日、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡した(求刑・懲役5年)。男は「正当防衛です」と起訴内容を否認、無罪を主張していた。

神戸地裁

 男は2020年5月31日午後、神戸市兵庫区のコインパーキングで、男性の首に左腕を巻き付け、男性の足に自身の足を掛けて後方へ転倒させるなどの暴行を加え、けがをさせたとされる。男性は頸椎(けいつい)損傷と診断され、下半身不随の後遺症が残っており、現在も回復していないという。

 神戸地裁は、男が、当時酒に酔った状態でマスクをしていなかった被害者の男性から「マスクせんかい」と怒鳴られて注意されたことから口論になり、暴行したと認定。しかし男は「お前に言われる筋合いはない」などと怒りをぶつけ、その後法廷で「被害者の男性が自分の額に合わせるかにように顔を近づけてきたため、何かされる前に制圧しなければ」と述べたことについては、「けんか腰で食ってかかっており、被害者のぶしつけ(不躾)な態度に『捨ておけない』との気持ちから、受けて立とうとした」と指摘した。

開廷前の神戸地裁・法廷<2022年5月17日午後 ※代表撮影>

 こうした経緯について神戸地裁は、「法治国家では、こうした争いについて平和的解決を選択すべきところを、被告自身が格闘技の経験がある旨を告げ、積極的とまでは言えないが暴行し、被害者を転倒させて負傷することがまかり通るのは良くない」と述べた。
 そして最後に「(被告は)実刑を覚悟していたようだが、刑の執行を猶予するかどうか、ぎりぎりの判断だった」と述べ、「一方的に被害者にけがをさせた民事上の賠償責任は生じる」と断罪した。なお、被告の男は被害者に対し、謝罪と損害賠償の意思を示しているが、これまでのところ返答がないという。

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