「もし僕が好きって言ったら?」 “告白事前確認”や“なんとなく交際”増加に見る「傷付きたくない症候群」

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 交際前にその意思を伝える「愛の告白」。かつては男性が女性を呼び出したり、手紙で伝えたりということが定番でしたが、最近では、その気持ちをラインで伝え合ったり、“告白”という手順を踏んだりせずに、なんとなく交際を開始するという人も増加しているそうです。昨今の「愛の告白」事情について、神戸で15年以上婚活をサポートする結婚相談所「マリッジマネジメントセンター」の代表・自念真千子さんに聞きました。

 自念さんによると、「男性が女性に告白をする」という交際の手順が定番になった理由は、かつての日本が村社会であったことが大きいのではないかとのこと。子孫を残すことがその集落を存続させることに直結していた時代、働き手となる男性が、見初めた女性の生活を保障し、家族になるという生活様式が成り立っていました。そういった状況から、権力や経済力が男性に集中し、男性が女性を選ぶという形でカップルが成立することがほとんどだったのではないかと自念さん分析します。

 しかし、時代は変わり、現代では男女の力関係は対等なものになっています。そのため、「カップル成立のための打診」を男性が行うという固定概念は崩れ、性別に関係なく、愛の告白は個人の意思のもとに行われるものになりました。恋愛の先にあるものが結婚だけではなくなった今、女性の方が恋愛や交際の打診に積極的になっているという傾向も見られます。

 また近年は、メッセージアプリで告白の事前確認を行なったり、告白をせずになんとなく交際を始めるという人も増加しているようです。

ーー会社員・Aさん(20代・女性)の場合
「いい感じになっていた男性から、ラインで『もし、僕が君のことを好きと言ったらどうする?』というメッセージがきて、『私も好きっていうかな』と答えると、『じゃあ好き』と返信がありました。保険を掛けられたようで少しイラっとしましたが、告白してくれただけでもうれしいので、今は幸せに交際を続けています」

ーー会社員・Bさん(30代・男性)の場合
「付き合おうと約束してはいないけれど、よく家に遊びに行く中だった同僚に『そろそろ付き合う?』と確認されたことがあります。僕としてはもう交際していると思っていたのですが、そこで初めてお互いが恋人同士だと確認することができました」

 2020年、内閣府子ども・子育て本部が発表した「少子化社会に関する国際意識調査報告書」によると、前回調査が行われた2015年と比較して、「相手からアプローチがあれば(交際を)考える」と答えた人はおよそ5%増加して40.4%に、「気になる相手には自分から積極的にアプローチする」と答えた人は前回から0.5%減少し19.5%となっています。

 自念さんは、自分から積極的にアプローチをする人が減少し、曖昧な関係を続けたり、告白をためらったりする人が増加している理由として、現代人にまん延する「傷付きたくない症候群」があるといいます。生き方が多様化し、誰もが対等な立場で恋愛をするようになった今、自分の本当の感情を言葉にして周りに伝えることのハードルが上がり、自分の発言で相手との関係が壊れたり、せっかく築いた関係性や居場所を失うことを恐れる人が増えているのではないかというのです。また、これまで恋愛の着地点と考えられてきた「結婚」が必ずしも必要なものではなくなり、恋愛関係を結ぶことや、結婚生活への憧れや魅力が低下していることも一因だと分析しています。

 自念さんによると、絶対的な価値観や固定概念が存在しない現代の社会において「自分の思いを伝えることで、自分や相手が傷付くことを恐れるのは当たり前のこと」だといいます。それでも、恋愛に限らず、誰かと親しい関係を築くためには、自分の感情や考えを伝えることが必要不可欠だと話してくれました。

 「愛の告白」と堅苦しく考えずに、まずは自分の感情を相手に素直に伝えてみることが、良い関係を築く道のりへの第一歩のようです。

(取材・文=村川千晶)

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