アニメ業界を舞台に、作品が稼ぎ出す数字で頂点をめざす戦いを描く、映画『ハケンアニメ!』が、いま全国ロードショー公開中です。
主人公は、28歳の新人アニメ監督・斎藤瞳(吉岡里帆)。国立大学を出て県庁で働いていましたが、アニメを作りたくて業界大手のトウケイ動画に入りました。
物語は、瞳がテレビで放送される連続アニメ『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』で監督デビューするのが決まるところから始まります。
テレビで放送されるアニメは、新作が1年間に200本以上作られていて、アニメ業界のマーケットは2兆5000億円を超えるそうです。日本国内だけでなく、世界中のファンが日本のアニメを楽しんでいます。
アニメの制作現場では、視聴率をはじめとした数字でトップを目指そうと、「覇権(ハケン)」を争う熾烈な戦いが繰り広げられています。
新人監督の瞳はデビュー作で、瞳があこがれているスター監督・王子千晴(中村倫也)と戦うことになりました。
瞳が作る『サウンドバック 奏の石』と王子が監督を務める『運命戦線リデルライト』は、同じ時間帯にテレビで放送されるのです。
作品のプロデューサー・行城(柄本佑)は、仕事はできるのですが超クセのある性格で、関係者へのあいさつや宣伝のための雑誌取材など次から次へと瞳を連れ出します。
ビジネスを優先する行城の指示に振り回され、不器用な瞳は肝心の作品づくりに当てる時間を持てず、壁にぶち当たリます。
作品づくりへの熱意は誰にも負けないと自認する瞳ですが、経験不足から職人気質のスタッフたちと衝突したり、アイドル声優とのコミュニケーションに行き詰まったり。好きなことを仕事にしたはずなのに、次第に追い詰められていきます。
一方、王子は瞳がアニメ業界を目指すきっかけとなった人物で、天才監督として8年ぶりに現場復帰することがファンの間で広く注目されています。ところが王子は長年のスランプで崖っぷちに立たされていて、大きなプレッシャーを抱えていました。
王子を支えるのは、王子の才能に人生をかけるプロデューサー・有科(尾野真千子)で、王子のわがままや気まぐれに振り回されて悪戦苦闘しています。