おしゃれな外食といえば「イタリアンでパスタ」という古いイメージを未だに持っている筆者ですが、昔は「スパゲッティ」と呼んでいた料理を、いつの日かそっちの方が“イケてる”と感じ「パスタ」と呼ぶようになっていました。一般に、「イタリアっぽい麺類」を使った料理を「パスタ」と呼ぶ傾向にあるような気がしますが、「パスタ」と「スパゲッティ」にはどのような違いがあるのでしょうか。日本パスタ協会の専務理事・田村さんに聞きました。
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田村さんによると「簡単に言えばパスタは非常に幅広い概念で、スパゲティはそのうちの一つです」とのこと。「パスタ」の名称には法令的な定義はないようで、乾燥パスタに限らず、生パスタも含み、細長い麺状のロングパスタや、短くて穴の開いたマカロニやペンネなどのショートパスタまで含むイタリア式の麺類の総称として使われています。さらに最近では、「米粉パスタ」や「エンドウ豆パスタ」が登場するなど、原料は小麦粉に限りません。
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一方で、スパゲッティは「食品表示基準」という内閣府令で「マカロニ類」の一種として定義されており、原材料や太さ、形状がしっかりと定まっています。まずマカロニ類は、「デュラム小麦のセモリナ若しくは普通小麦粉又は強力小麦等のファリナ、もしくは普通小麦粉に水を加え、これに卵、野菜等を加え又は加えないで練り合わせ、マカロニ類成形機から高圧で押し出した後、切断し、及び熟成乾燥したものをいう」と細かく定義されており、このマカロニ類の中でスパゲッティは「1.2ミリメートル以上の太さの棒状、または2.5ミリメートル未満の太さの管状に成形したものにあってはスパゲッティと表示することができる」と厳格に定義されています。
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ちなみに、マカロニ類はスパゲッティを含め4つに分類されおり、2.5ミリ以上の太さの管状またはその他の形状をしたもの(棒状または帯状のものを除く)を「マカロニ」、1.2ミリ未満の太さの棒状に成型したものを「バーミセリ」、帯状に成型したものを「ヌードル」と呼ぶと、それぞれ定義されています。
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冷凍食品やコンビニで売られているパスタも、最近ではとても美味しくなりました。食べるときにはぜひ、その形状や太さまで気にしてみてください。
(取材・文=宮田智也 / 放送作家)