「産後は女性が頑張るもの」。いまだそんな風潮が残るのを否めない今の日本。じつは、アジア諸国やヨーロッパなど海外では、『産後ケア施設』の利用が“当たり前”となっている地域も少なくないといいます。しかし、日本ではまだ広く認知されておらず、専用の施設もごくわずか……。
そんな中、6月5日(日)、清水寺や三十三間堂にほど近い京都市東山区・清水五条エリアに「産前産後ケアホテル ぶどうの木 京都院」がオープンします。先月のプレオープン時から注目度が高く、遠方では福島県からの利用者もあったそう。関心が寄せられていることが伺えます。
産前産後ケアの重要性やその特色を、同ホテルの各担当スタッフに聞きました。
◆妊娠・出産をとりまく現状
現在、コロナ禍で里帰り出産ができない、仕事や介護のために両親の手を借りることができない……と、出産や育児の負担を“お母さん”一人で抱える状況が多く見られるそう。出産後5日ほどで退院し、すぐに家事や育児を再開する人も少なくないとか。マネージャーの松本愛さんは、「産後、お母さんの体はとても疲れている。周りからのサポートが重要」と話します。
◆産前産後のお母さんに必要なこととは
産後は、まずお母さんの体を回復させることが大切。ホルモンバランスが崩れて心身ともに不安定な中、誰にも頼ることができず、産後うつに陥ってしまう人もいるのが現実です。助産師の中川淑子さんによると、「疲れきってしんどそうな顔で来るお母さんもいる」とのこと。
赤ちゃんのケアはもちろん、産前産後の女性の体の不安や心の悩みも一緒に考えてくれる存在が欠かせません。ぶどうの木 京都院には、母子のケアのスペシャリストである助産師が24時間常駐。また、お母さんの心身の回復を促す、ヨガや骨盤ケア、アロマオイルトリートメントも設けられています。
◆心の癒しを空間から
心地よい空間は気持ちを落ち着かせるといいます。同ホテルの部屋は、1人部屋から、畳の小上がりがある部屋まで、好みや状況に合わせた5タイプ全18室。お父さんや上のお子さんも一緒に泊まることができます。また、上層階の窓からは、京都タワーや近隣の社寺仏閣など京都らしい景観が望めるとのことで、産後すぐには楽しむのが難しい「旅行」を兼ねての利用も考えられそうです。
心身の回復となると、食事面も気になるところ。