物語は、アメリカ海軍のエリート飛行士訓練学校に、極めて特殊なパイロット技術をもつマーヴェリック(トム・クルーズ)が教官として帰ってくるところから始まる。目的は、とうてい不可能と思われるミッションの成功。一人の犠牲者も出さずに帰還すべく、若き後輩トップガンたちを3週間かけて鍛え上げるために呼び戻されたのだ。
その選抜メンバーの中に、かつてマーヴェリックとペアを組み、事故で命を落とした親友、ニック“グース”ブラッドショウの息子のブラッドリー“ルースター”ブラッドショウ中尉(マイルズ・テラー)がいた。親友を失った喪失感と責任を背負って生きてきたマーヴェリックはルースターを息子のように愛するが、ルースターは、まだわだかまりを消すことはできていない……。
前作では、ケリー・マクギリス扮するチャーリーと恋をしたマーヴェリック。今回のお相手はシングルマザーで、飛行士たちが集まるクラブのオーナーのペニー・ベンジャミン(ジェニファー・コネリー)。お互い、幾度もの恋と別れを経て再会したことを、運命のようにも感じている。
女性といえば、今回、トップガンのメンバーの中に女性のナターシャ“フェニックス”トレース大尉(モニカ・バルバロ)が登場する。実は、前作の頃には女性は戦闘に参加できなかったが、1993年に戦闘禁止が解除され、数年後、女性パイロットが誕生したのだとか。時代は変わっていくのだ。
前作でトム・クルーズと人気を二分するアイスマン役を演じたヴァル・キルマー。咽頭がんの闘病生活で、以前のように声を出せなくなったという。そして2021年夏、声のクローンを作成するAI技術によって再び話せるようになったとのニュースに接し、どういった形での出演になるのか心配していたのだが、出世して海軍大将になっての実に素晴らしい再登場で、胸が熱くなった。
主題歌「Hold My Hand」は、レディー・ガガの作品。最近は女優としても存在感を発揮しているが、歌手としても、8年ぶりの来日公演が、今年9月3・4日に埼玉県所沢市の西武ドーム(ベルーナドーム)で開催されることが決まっているなど大活躍だ。
監督のジョセフ・コシンスキーは2010年『トロン:レガシー』で長編監督デビュー。今回、トニー・スコット監督のレガシーを受け継ぎ、新たな伝説を作ったこの作品は、間違いなく彼の代表作になるだろう。
『トップガン マーヴェリック』は、音響が良くて画面が大きい“映画館”で観るべき作品だと思う。とくに、「F14」か「F18」(座席番号)の席での鑑賞が人気なんだとか。記録づくめの大ヒット。その記録をどこまで伸ばすのか、本当に楽しみだ。(増井孝子)
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオdeショー!』、「おたかのシネマdeトーク」より
『トップガン マーヴェリック』2022年5月27日(金)公開
【スタッフ・キャスト】
■監督:ジョセフ・コシンスキー
■脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン、クリストファー・マッカリー
■製作:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン
■出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス
■配給:東和ピクチャーズ
【公式サイト】
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