広報によると、ボールペンのキャップの先端に穴がある理由は、誤って飲み込んでしまった際、「窒息を防ぐため」とのことでした。品質や情報、環境などを定める国際的な基準・ISO規格では、14歳までの子どもがキャップを誤飲した際の、規定の空気流量の確保などが細かく定められており、キャップの穴はその空気流入を確保するための仕様の一つとなっているそうです。
キャップの穴が「事故を防ぐため」にあるというのは意外でしたが、ではその穴によってペン先が乾燥してしまう恐れはないのでしょうか? それとも、そもそもキャップに乾燥を防ぐ目的はないのでしょうか? 広報によると、「キャップにはペン先の保護の目的のほか、もちろん乾燥を防ぐという役割もあります」とのこと。その上で、例えばマーカーなど乾燥しやすいペン先の場合は、キャップ内が二重構造になっていて、ペン先の部分は保護しつつ、規定の空気流入が確保できるようになっているそう。
パイロットの製品では「フリクションライト」がこれにあたり、キャップ内が二重構造になっていることで、キャップの天面は穴が開いていますが、内側に小さなインナーキャップを設けることで、ペン先が乾燥しないよう保護できる仕組みになっているというわけです。ペン先は超精密部品のため、過度な衝撃を加えると損傷してしまい、書けなくなってしまう恐れもあります。損傷から守るためにも、筆記後は必ずペン先を収納するか、キャップを閉めるかした方がいいでしょう。
普段何気なく使用するボールペンですが、そこには安全性、使いやすさに多くの工夫が施されています。ペンが止まった時は、一息吐きがてらじっくり眺めてみても良いかもしれません。
(取材・文=宮田智也 / 放送作家)