韓国・ソウルで、それぞれ家庭を持って暮らす女性3人。姉妹なのですが日々の生活に精一杯で、会う機会がありませんでした。父親の誕生日で久しぶりに帰省した三姉妹がずっと蓋をしていた心の傷に向き合うことになる、映画『三姉妹』が6月17日(金)から公開されます。
長女・ヒスクは小さな花屋をしていますが、シングルマザーで娘は反抗期。幸薄い女性です。別れた夫の借金を返しながら暮らしていますが、元夫はお金をせびりにやってきます。娘はパンクバンドに夢中で、ヒスクの言うことを聞きません。ヒスクはがんにかかっていますがまともな治療を受けていません。
次女・ミヨンは熱心なクリスチャンで、聖歌隊の指揮者を務めるリーダーとして活動しています。夫は大学教授で、子ども2人と高級マンションに住んでいます。一見、裕福で理想的な暮らしに見えますが、夫が若い女性と浮気していることに気づいてショックを受けます。でも弱みを見せたくない性格です。
三女・ミオクは劇作家なのですがスランプで作品を書けず、自暴自棄のアルコール依存症です。昼間から自宅で酒を飲み、スナック菓子をボリボリと食べ続け、夫にも中学生の息子にも息子の教師にも、誰にでもからむので厄介者扱いされています。髪は金髪でド派手な服を着て、ほとんど仕事をしていません。
3人はふだん、毎日を過ごすのに精一杯でお互いに会うことはめったにありませんでした。
ある日、実家の母親から次女・ミヨンに電話があります。
「もしもし、母さん、どうしたの。姉さんが? またお金をせがんできた?」
ミヨンは、長女・ヒスクの花屋を初めて訪れました。2人で食事をし、帰りの車の中でミヨンはこれまで聞きたかったことを尋ねます。
次女「借金はまだ残っているんでしょ?」
長女「そうね、本当に申し訳ないわ。あなたにも返さなきゃ」
長女は次女にも三女にも金を借りていました。
次女「姉さん、私たちは他人? 姉妹は支え合うものよ。私はこんな姉さん見たくない」
家族なんだから一人で抱えこまないで私を頼ってほしい、とミヨンは姉を諭します。
長女「これからはそうする。あなたは変わりない?」
次女「私は……私のことはいいの」
夫の不倫でミヨンの心はめちゃくちゃになっているのに、本当のことを姉に打ち明けられませんでした。
一方、三女・ミオクには気になることがありました。5歳のとき、次女のミヨンと2人で大通りの店まで裸足で走っていったことです。なぜ寒い中、姉が自分の手を引いて走ったのか理由が思い出せません。
こうした中、父親の誕生日を祝うために三姉妹が久しぶりに帰省して集まることになりました。実家には3人の弟・ジンソクが高齢の両親と一緒に暮らしています。
誕生日会の席で、牧師さんも同席して祈りが捧げられるとき、弟が驚きの行動を起こします。姉妹3人は幼い頃の記憶を思い起こし、封印していた心の傷と向き合うことになります――。
主演は韓国の名女優と呼ばれるムン・ソリで、次女を演じながらプロデューサーも務めています。長女役は『愛の不時着』で北朝鮮の人民班長役を演じたキム・ソニョン。三女役はモデル・ラジオのパーソナリティー・歌手など幅広く活動するチャン・ユンジュ。
3人の演技が驚くほどリアルで、圧倒されます。それぞれが役柄の心の動きを実に繊細に表現していて、家族の出来事をまるでとなりで見ているような気分になります。