エリザベス・テイラーやマリリン・モンローらと話す24歳のエリザベス王女の映像が紹介される場面では、ポール・マッカートニーが「リバプールの小僧たちはみんな女王様が好きだった」と語っています。「(僕が)14歳くらいかな。思春期真っ盛りの頃だ。僕らから見ると“かわいこちゃん”だ。10代男子にはセクシーに見えた」。
ビートルズは、1965 年10月にバッキンガム宮殿で大英勲章第5位を授けられました。勲章の叙勲はエリザベス女王が子どもの頃からの公務で、4位・5位の勲章は毎年2000個ほど授けるそうです。ジョン・レノンは1969年に勲章を返却していて、この記録カードが映像で示されます。
1990年代のアン王女離婚、アンドルー王子離婚、ウィンザー城の火災、チャールズ皇太子とダイアナ妃の離婚、と連続して不幸に見舞われた時代も追っています。とくにダイアナ元妃の交通事故死について王室が沈黙し宮殿に弔旗が掲げられなかったことにイギリス国民は悲しみ、怒りました。このときエリザベス女王は前例のない行動をします。バッキンガム宮殿の前で車を降りて沿道の国民に向き合い、ダイアナへ正式な弔意を示しました。
今作を手がけたのは、『ノッティングヒルの恋人』『ゴヤの名画と優しい泥棒』を撮ったロジャー・ミッシェル監督です。コロナ禍で撮影が不自由なことからアーカイブ映像を使うドキュメンタリー作品を思いついたそうです。監督は「エリザベス女王はまさにモナ・リザだ。誰もが知っている圧倒的存在。でも実態はベールに包まれていて、私たちは彼女を永久に知り尽くすことはできなかった」と語っていて、“お城に住むおとぎ話の主人公”を身近に感じさせる映画を完成させました。
このドキュメンタリー映画にナレーションはありません。女王を擁護したり否定したりするのを避け、リスペクトを込めて茶目っ気ある“いじり”を入れるのが監督の狙いで、この結果、女王の愛らしい姿が散りばめられた作品となっています。
『エリザベス 女王陛下の微笑み』は、6月17日(金)公開。(SJ)
◇『エリザベス 女王陛下の微笑み』(原題:Elizabeth: A Portrait in Part(s))
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
出演:
エリザベス2世 フィリップ王配 チャールズ皇太子 ウィリアム王子 ジョージ王子 ダイアナ元妃 ザ・ビートルズ ダニエル・クレイグ マリリン・モンロー ウィンストン・チャーチル ほか
監督:ロジャー・ミッシェル
製作:ケヴィン・ローダー 音楽:ジョージ・フェントン
配給:STAR CHANNEL MOVIES
(C)Elizabeth Productions Limited 2021