さらに、玩具としてだけでなく、自動車の中や家、ショーウインドウのインテリアとしてもよく使われていました。乗用車の後部座席の背もたれの上に置いている人が多く、後続車から見るとその揺れる動きが目立ったため、良い宣伝にもなりました。
――なぜ製造を中止されたのですか。
【川村さん】 ブームが去ったこともあり、販売元会社の判断で中止(=生産終了)となりました。類似品(プラスチック製)の乱立により、販売価格としても限界だったと聞いております。
しかし、品質に関しては我々の製作した元祖トムボーイに勝るものは現在もございません! この技術は、後にマツダのロータリーエンジンのオイルシールスプリング(※1)の製造技術に活かされました。
また、漫画『キン肉マン』に登場する悪魔超人スプリングマンの必殺技に、階段を下りながら敵に体当たりをする「デビルトムボーイ」というものもあります。
――トムボーイの魅力は?
【川村さん】 装飾メッキが動きにあわせて虹色に光る、美しい見た目です。当時のCMでは、お手玉のように扱ったり、背中や肩を移動させたりするなど、かなり活発な動きをさせていました。トムボーイがひとり静かに階段を降りていくのを、そのシャラシャラという音とともに楽しむこともできました。
また、階段で競争させて遊ぶのはもちろん、男の子は長いトンネルなどを作ってトミカと一緒に使用して遊んでいたり、女の子はお手玉のようにしてシャラシャラと遊んでいたりしました。
実物を手にしたときのユラユラとした柔らかい感覚は他で例えることが難しく、「どんな風に作っているのだろう?」と、ミステリアスな印象も魅力のひとつです。
――現在はどのような商品を製造販売されているのでしょうか。