しかし、オオムラサキの減少率は年に約16%と急速なペースで進む。こうしたことから、 環境省は2006年にレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)で準絶滅危惧種に指定した。
石津さんは「神戸、大阪のベッドタウンとして急速に発展してきた川西市は、宅地造成のために山を切り拓いたために、植物の伐採で生物が大きな影響を受けた。里山のシンボルと呼ばれるオオムラサキも例外ではなく、幼虫の間、エノキの葉を食べてサナギになり、6月~7月頃にかけて成虫となる。成虫はクヌギなどの樹液を吸って栄養分とする。 このように食物の選択範囲が狭い「狭食性」のチョウ類にとって、生命の維持が脅かされている」と不安を募らせる。
川西の里山を「オオムラサキの里公苑」にするのが夢という石津さんは「今年のオオムラサキはメスが14センチと、とても大きく育っている。オオムラサキが自然の中で1年かけて成長する過程を見て、子どもたちが自然との共生について考えてもらえれば」 と訴える。
そして「オオムラサキのみならず、里山のチョウの多くが急激に減っている。チョウたちが『大切なゆりかごが壊れつつある』と教えてくれている」と話した。