兵庫県豊岡市の城崎温泉が、アメリカ・ロサンゼルスのハリウッドで観光プロモーションを行う。「ポストコロナ」時代を見据え、城崎を中心とした但馬地域の魅力を体験してもらうことで欧米からの観光客誘致を狙う。
このたび渡米するのは、老舗旅館「西村屋」の西村総一郎社長・高橋悦信総料理長ら城崎の旅館関係者に加え、伝統工芸「麦わら細工」や出石そばの職人、浴衣専門店のスタッフら16人。6月29日(現地時間)に、ハリウッドにある日本文化の発信拠点「JAPAN HOUSE」で、現地の旅行業者やメディア、インフルエンサーらを招いてイベント「KINOSAKI EXPERIENCE」を開催する。松葉ガニなど但馬の食材をふるまうだけでなく、インフルエンサーが浴衣を着てハリウッドを練り歩き、城崎温泉の「外湯めぐりのそぞろ歩き」を体験してもらう。また、現地旅行代理店と城崎の旅館等とのオンライン商談会や地元産品のオンライン販売も予定している。
城崎温泉を訪れる外国人観光客は2010年代に約50倍以上に激増、とりわけ欧米系の個人旅行客の姿が目立った。大人数のツアー客を受け入れられる大規模ホテルがほとんどないことに加え、京阪神からの距離感から「駆け足周遊」タイプのツアーには向かず、余裕を持った日程で異文化体験型の旅をしたい欧米の観光客が多かったのだ。
2007年にガイドブック『ロンリープラネット』 に「Best Onsen Town」として掲載され、2012年には『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』でも二つ星で紹介されるなどヨーロッパを中心に人気が高かったが、2010年代後半からアメリカからの宿泊客が急激に増え、「西村屋本館」では2019年には国別の海外宿泊客数でトップになるまでになっていた。
6月に外国人旅行客の受け入れが再開されたとはいえ、当面期待できるのはアジアからのツアー客だが、あえて城崎温泉は未来を見越してまずアメリカをターゲットとすることにした。「アメリカ人に、世代を問わず『KINOSAKI体験』を味わってもらいたい」という思いからのイベント開催。西村屋の西村社長は「日本の温泉地を代表するつもりで魅力をアピールしたい」と意気込んでいる。