6月19日15時8分頃、石川県能登地方でマグニチュード(M)5.4の地震が発生し、石川県珠洲市では最大震度6弱を観測した。震源の深さは13kmで、神社の鳥居が壊れるなどの被害が出た。翌20日10時31分頃、M5.0(暫定値)の地震が起きた。珠洲市では最大震度5強を観測し、午後2時50分ごろには再び震度4の地震を観測した。気象庁は能登地方での地震活動は当面継続するとの見解を示している。
気象庁によると、能登地方では2018年頃から地震が増加傾向となり、2020年12月~22年6月20日までに震度1~6弱の地震が161回起きている。2022年3月には震度1以上の地震が22回起こっており、「群発地震」であるとの説がある。
阪神・淡路大震災と同じ直下型地震が起こる可能性が指摘される活断層「山崎断層帯」(兵庫県三木市~岡山県美作市)の研究を続ける日本地震学会・会員で、はりま地盤・地震研究会(兵庫県姫路市)の西影裕一代表に聞いた。
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なぜ能登地方でこのような地震が発生するのだろうか。群発地震といえば、長野県松代町(現長野市)で起こった松代群発地震(まつしろぐんぱつじしん)を思い起こす方もいらっしゃると思う。この群発地震は1965年から70年までの約5年半もの間続き、住民に大きな不安を引き起こした。総地震数は71万回以上。このうち、震度1以上の地震は6万2800回以上起こった。
この群発地震は、地下に存在する”大量の高圧の地下水”によって地面が隆起して引き起こされたと考えられており、こうした地殻変動が原因との見方もある。
今回発生した能登地方の地震の原因は、「松代群発地震と同様に能登地方の地下に流入した大量の流体によるものではないか」という説もあるが、現在のところはっきりとした原因はわかっていない。この地震は今後も引き続き起こる可能性が指摘されており、住民の方々の不安は尽きない。これからの研究が待たれる。
いずれにしろ、地震が起きても被害にあわないようにすることが重要で、就寝時には頭上横にタンスや重量物がないようにすることや、歩行中には瓦、壁、ブロック、ガラスの破損落下・倒壊に注意するなどの対策を講じるといった、基本的な注意が必要となる。