加賀さんは「私達の腸内細菌は一人一人違い、当然、(同じ乳酸菌でも)合う人と合わない人がいます。全ての人にとって良い効果をもたらす乳酸菌はなく、自分にとって良い乳酸菌は自分で見つける必要があります」と説きます。
また、「せっかく体に良いものを入れたとしても、一緒に入っている成分が体に良くないものでは、本末転倒。一般に、乳酸菌飲料は糖分が多く含まれているため、糖分のとりすぎにも気を払うべきです」と続けます。また、最近の研究では「乳酸菌以上に『酪酸菌』が生み出す、酪酸が体に良い働きかけをすることもわかっている」そうです。
加賀さんは、「飲料だけに頼るのではなく、食事から乳酸菌を摂ることが大切です。特に日本人にはチーズやヨーグルトから摂る動物性乳酸菌より味噌、醤油、漬物などから摂ることができる植物性乳酸菌が合っているとされています」とアドバイスします。ついつい楽をしようと手軽に摂れるものを選びがちですが、結局のところ大事なのは普段の食事と言えそうです。
(取材・文=宮田智也 / 放送作家)
◆加賀夏子(一般社団法人バイオトラスト 代表理事)
「腸内細菌のバランスによる心身の健康」「遺伝子から見た傾向性と可能性」を中心に情報発信を行う。「心身の健康の要は、腸にある」ということが世間の常識になる前から「腸内環境」に着目。健康について継続的に学習をサポートするために立ち上げたコミュニティ「腸内フローリスト学院」では、学院長を務める。