こうした中、北朝鮮大使館が現地の若者たちに襲われ、食料や車も医薬品もすべて強奪されます。北朝鮮のリム大使は、大使館にいると命が危ないと判断し職員とその家族あわせて13人で中国大使館に向かいます。中国に保護を求めようとしたのですが、行ってみると中国大使館は燃やされていました。
リム大使は決意します。これまで敵対していた韓国大使館に助けを求めようというのです。この考えにテ参事官は反対します。「帰国したら反乱分子として粛清されます」。
一方の韓国側にとっても北を助けるなんてあり得ないことです。ハン大使は「戻れ、いい迷惑だ」と追い返そうとしますが、北朝鮮側の幼い子どもたちを見て、迷った末に彼らを大使館に入れる判断をします。
韓国の職員は「北の人間は素手で人を殺す訓練を受けている」と心配し、北朝鮮の一行は出された食事に毒が入っていると疑って食べようとしません……。
ソマリアの内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の人たちが命をかけて脱出する実話を映画化したのがこの作品です。モガディシュに駐在していた韓国の大使とその家族たちが、激しく敵対していた北朝鮮の大使たちとともに力を合わせて生き残ろうとする物語。
映画に出てくる実在の韓国の大使が2006年、外交官を引退したあとこのモガディシュ脱出を題材にした小説を書き、事件が広く知られるようになりました。
ストーリーは後半、両国の人たちが互いを警戒しながらも協力できることを探り、韓国の大使がイタリアの大使に支援を求めて、国外へ出る糸口を見つけます。クライマックスが、韓国と北朝鮮の大使と家族およそ20人が車に分乗し、飛行機の時間を目指して走るカーアクションです。銃撃から車を守るため何十冊もの本や砂袋をボンネットや屋根にガムテープで貼り付けて、反乱軍に追いかけられながら猛スピードで逃げ回ります。
撮影はソマリアが渡航禁止となっていることから、モロッコでモガディシュの街を再現してオールロケを行ったそうです。
韓国ですでに公開され、2021年度韓国映画ナンバー1ヒットとなりました。初めはコメディーのような雰囲気で進み、その後シリアスで超緊迫する展開となります。映画『モガディシュ 脱出までの14日間』は、7月1日(金)公開。(SJ)