9月15日から25日まで、兵庫県豊岡市を中心に開催される「豊岡演劇祭2022」のプログラム概要が6月23日発表された。16団体17演目の公式プログラムに加えて約60団体がフリンジ(公募プログラム)として参加し、豊岡市内各所をはじめ養父市・香美町でも公演を行う、国内最大級の演劇祭となる。
フェスティバルディレクターを務める劇作家・平田オリザ氏のセレクトによる「ディレクターズプログラム」は8団体9演目。日本を代表する舞踏集団「山海塾」による『降りくるもののなかで――とばり』や、平田氏が主宰する劇団青年団の『日本文学盛衰史』『銀河鉄道の夜』、「南河内万歳一座」座長の内藤裕敬氏演出の市民演劇プロジェクト『新・豊岡かよっ!』など、多彩なラインナップだ。
また、まちづくりと連動した「フェスティバルプロデュース」として、城崎温泉の旅館・飲食店とのコラボによる「食事×文学×リーディング よるよむきのさき」や、JR西日本の観光列車「うみやまむすび」とタッグを組んだ「城崎発演劇列車」などの試みも実施される。
約60団体のフリンジは、昨年(127件)を上回る149件の応募から選ばれた。通常の演劇スタイルのものやワークショップ、音楽、大道芸など様々なプログラムが、街のあちこちで繰り広げられる。さらに、地元の食材などを提供する「フェスティバルナイトマーケット」などのマルシェイベントを各地で開催するなど、地元との連携事業も各種計画されている。
プログラムの選定コンセプトを問われた平田氏は、「ありません」と笑って答えた。その意味は「アーティストとしてのコンセプトを掲げるのではなく、より多くの人に見たいと思ってもらえることを考えて選んだ」のだという。さらに「普通の演劇祭は『次回も来てもらえる』ことを考えるが、この演劇祭では『次は演劇祭じゃない時にもう一回豊岡に来よう』と思わせようと狙っている。演劇祭をきっかけに豊岡の魅力を知ってもらいたい」と意気込みを語る。
スローガンに掲げた「ここから、はじまる」について、豊岡演劇祭実行委員会の高宮浩之会長(豊岡ツーリズム協議会会長)は「コロナ禍やウクライナの紛争で、私たちの生活も、観光産業を取り巻く状況もすっかり変わってしまった。この豊岡演劇祭も、去年は開催できなかった。ようやく明るい兆しが見えてきた今、あらためてここから新しいスタートを切りたい」と思いを語った。