――人工呼吸とAED、どちらがより効果的なのでしょうか?
現在は、人工呼吸よりもAEDの使用が推奨されています。というのも、心臓マッサージを行うことで胸が圧迫され、ある程度の呼吸が通るといわれているんです。AEDも広く普及し、今では多くの場所で設置されていますので、まずはAEDを探していただければと思います。
――脳卒中で倒れた方は動かさない方がいいと聞くのですが、本当なのですか?
これは、ずいぶん昔にいわれていた通説なんです。もちろん、激しく動かしてはいけないのですが、原則としてすぐに救急搬送することが推奨されています。ただし、くも膜下出血を発症している場合、血圧が上昇すると再び血管が破裂してしまう恐れがありますので、身体を動かす場合にはできるだけそっと動かす必要があります。
――動かしてはいけないのではなく、刺激のないように動かす必要があるのですね。
ほかにも、身体に麻痺が出ていた場合にも注意点があります。脳卒中を発症した際、嘔吐してしまう方が多くいらっしゃるのですが、この場合、吐物を誤嚥(ごえん)してしまう危険性があります。さらに、身体が麻痺している際、実はのども麻痺しており、麻痺している側を下にしていると吐物を誤嚥してしまう危険性が非常に高まるんです。つまり、誤嚥を防ぐためにも、身体が麻痺している場合には、麻痺している側を上にする必要があります。
――救急車が来た際、隊員の方にはどのような情報をお伝えすべきなのでしょうか?
救急隊員の方が来るまでにみられた症状を、詳しく伝えていただければ問題ありません。
◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科