1859年に開館し、ヨーロッパでも屈指の規模を誇るスコットランド国立美術館の至宝を紹介する「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」が、神戸市中央区の神戸市立博物館で開催されている。2022年9月25日(日)まで。
スコットランド国立美術館は、古都・エディンバラにあり、中世から現代に至る西洋美術史をカバーしつつ、英国、特に地元スコットランドの芸術家の作品の唯一無二のコレクションを形成してきた。12万点にも及ぶ所蔵品のうち、約90点が日本へ。うち75点が日本初出品という(1991年以降のスコットランド国立美術館の記録による)。
ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、ルノワールなどルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠の作品の他、彼らによる芸術に触発されて生まれた英国絵画、特にスコットランド出身の画家たちの名品も展示する。
スコットランド国立美術館とエディンバラ城が描かれたジェームズ・バレル・スミスの『エディンバラ、プリンシズ・ストリート・ガーデンズとスコットランド国立美術館の眺め』(1885年)は、油彩に見えるが水彩で描かれている。1885年に描かれた作品だが、今もその景色はほとんど変わらないという。
17世紀スペインを代表する画家ベラスケスが、18~19歳の頃に描いたという『卵を料理する老婆』(1618年)。油で熱されている卵の状態や、周囲の陶器や金属の器など様々なものが描き分けられている。「宮廷画家になる前のベラスケスが描写力を如何なく発揮した作品」(神戸市立博物館・高橋佳苗学芸員)で、当時の暮らしも見て取れる。日本初公開。
また18世紀を代表する英国の肖像画家・ジョシュア・レノルズの代表作のひとつ『ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち』(1780-81年)。令嬢たちの背後にある石の柱や欄干といったモチーフや右上に見える空の表現にティツィアーノやルーベンスといった過去の巨匠たちの影響が見られる。高橋学芸員は「3姉妹とともに、カーテンやいすの赤色と刺繍をしている布の緑色の色彩の対比も見てほしい」とする。
高橋学芸員は、「西洋美術史の流れとともに、英国ならではの作品も展示。壮大な美の旅を楽しんでほしい」と話す。
◆「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」
会期 2022年7月16日(土)~9月25日(日)
会場 神戸市立博物館
休館日 月曜 ※9月19日(祝・月)は開館、翌20日(火)休館
※日時指定予約優先制(詳細は公式サイトの「チケット」を参照)