原作は、イギリスの作家デボラ・インストールが2015年に出版した小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」です。ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれました。日本ではシリーズ累計発行部数 38 万部を 超えるベストセラーです。劇団四季がオリジナルミュージカルとして舞台化したことでも知られています。
主人公の健に扮するのは二宮和也。弁護士で健の妻・絵美を演じるのは満島ひかりです。他に市川実日子・奈緒・京本大我(SixTONES)・小手伸也・かまいたち(山内健司・濱家隆一)・武田鉄矢らが、それぞれ重要な役どころで共演しています。
監督は『思い、思われ、ふり、ふられ』や『今夜、世界からこの恋が消えても』などを手がけた三木孝浩です。
人間とロボットが共演するVFX技術は、『STANDBYME ドラえもん』や『ゴーストブック おばけずかん』を作ったVFXプロダクション・白組が担いました。
このVFX技術により、タングを精密なCGキャラクターとして実写部分に合成し、映画が完成しました。
実際の撮影でタングが登場する場面は、「俳優だけ」「俳優とおおざっぱな姿のタングの人形」「背景だけ」の1カットにつき3パターン必要で、二宮ら俳優陣は少なくとも3回同じシーンを演じる必要があったそうです。さらに「寄り」「引き」「返し」といったカメラワークの別パターンがあったりと、かなり根気がいる現場でした。
同じ芝居を何回もしなければならない俳優たちの苦労を今作のプロデューサーが語っています。
「俳優陣は本当に大変だったと思います。普段だったら相手の反応によって気持ちにも変化が生まれるでしょうが、今回は返してくれる存在がいませんから。事前にタングのセリフは録音しておき、スピーカーから出す形で撮影しましたが、生身の人間と違って変化がないぶん難しかったと思います」(田口生己プロデューサー)
キャストたちはそれぞれ苦労しつつも、一方で「やったことがないから楽しい」と口にしていたということで、三木監督は俳優としての熱意を感じた、と語っています。
二宮は、初回の打ち合わせで「タングのお芝居が返ってこないぶん、自分自身を見直すきっかけになるんじゃないか」と話したそうです。
「彼がそう考えてくれるならこの映画は成功すると感じました」(三木監督)
また三木監督は、二宮が劇中で健として見せる“表情の変化”について明かしています。二宮はクライマックスの表情の変化を大事にしたい意向を持っていて「それまではなるべく見せないようにしたい」と言ったとのこと。三木監督は「綿密にプランニングされて演じていると感じました。編集で1本につなげて観たときにその“変化”を目の当たりにして、こういうことか!と驚かされましたね」と称えました。