ベトナムでの追徴課税や罰金を免れようと、 現地の税関幹部らに多額の賄賂を渡したとして、 兵庫県警は8日までに、不正競争防止法(外国公務員への贈賄)違反容疑で富山県南砺市のプラスチック製造会社の経営者(75)や、ベトナム法人の元代表(71・兵庫県西宮市)ら3人を書類送検した。
3人は2020年3月、ベトナムの税関から納付を求められた追徴課税を減額してもらう見返りに、税関幹部に約350万円の賄賂を渡したほか、2017年8月には、現地での行政処分による罰金の減額を求め、現地で著作権の監査を担当する公務員に約40万円を渡した疑いが持たれており、いずれも「ベトナム当局から話を持ち掛けられた」などと容疑を認めているという。
捜査関係者によると、同社のパソコンに著作権法に抵触する不正な設計ソフトがインストールされていることがベトナム当局の監査で判明。またベトナム外国契約者税という税金が未払いだったという。別事件の捜査過程から今回の容疑が浮上した。
【外国公務員への贈賄罪】
企業活動のグローバル化に伴って国際商取引が拡大する中、 経済協力開発機構(OECD)で採択された外国公務員贈賄防止条約の締結に関して、1998年の同法改正で外国の公務員に賄賂を渡すことが罰則対象となった。贈賄の相手は外国公務員のほか、国連など国際機関の職員も含まれる。
経済産業省によると、海外で現地の子会社や代理店が賄賂などを渡したりすると、日本の本社が知らなくても外国公務員贈賄罪に問われるという。