「身を置いてこそ」 円山応挙の空間プロデュース力を体感 兵庫・香美町『大乗寺』の魅力を副住職に聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「身を置いてこそ」 円山応挙の空間プロデュース力を体感 兵庫・香美町『大乗寺』の魅力を副住職に聞く

LINEで送る

この記事の写真を見る(2枚)

 兵庫県美方郡香美町にある「大乗寺」は、江戸時代中期の画家、円山応挙とその一門の襖絵が多数あることから別名「応挙寺」とも呼ばれている。このたび、大乗寺副住職・山岨眞應(やまそばしんのう)さんがラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西)に出演。応挙の魅力や、現代における寺院の在り方について語った。

 大乗寺は、同町の国立公園山陰海岸に位置する。天平17年(745年)、行基によって開かれた高野山真言宗の寺院。円山応挙(1733-1795)やその一門による襖絵が有名で、『応挙寺』の愛称で親しまれている。

 同寺によると、応挙がまだ無名の頃、住職・密蔵(みつぞう)上人らがその才能を見抜き学費を援助。のちに画壇の頂点を極めた応挙が、“ご恩返し”として、12人の弟子とともに多数の襖絵や軸物を描いたとされている。

 客殿13室にそろう165面の障壁画は応挙と弟子たちの筆からなるもので、すべて国の重要文化財に指定されている。仏間の十一面観世音菩薩(国重文)を中心に、各部屋に荘厳な趣を与えており、鮮やかな色彩やトリック的描法、曼荼羅の世界を立体的に構築する空間設計など見ごたえ十分。

「応挙は空間設計、プロデュース能力に秀でた人。ロケハンなしに頭の中で空間を構成し、弟子に指示した。人間は、自分の都合の良いようにものをみていますから、見えているものが見えなくなったり、見えないものが見えてきたり。光の加減や風景も作用しながら、この空間が宇宙そのものになってしまうのです」(山岨さん)

 同寺では「襖絵保存プロジェクト」を展開し、障壁画のデジタルアーカイブ化を進めている。そのため、現在客殿には緻密な再製画が納められているが、10月から2023年3月までは10年前の本来の姿に戻し、200年前に応挙が作りあげた空間を再現する予定だ。

 山岨さんが「人が集まり、いろいろなことをするのが寺の本来の姿だったと思います。10年前はコンサートを開いたりしていましたから、また少しずつ上手に使っていければ」と、地域における寺院の意義を述べると、同番組パーソナリティで劇作家・演出家の平田オリザさんは「この空間は身を置いてこそ。香美町に来て、立ち寄らないのはもったいないですね」と応えた。

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2022年8月11日放送回より

【高野山真言宗 亀居山 大乗寺 公式HP】

☆☆☆☆☆

『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理

『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。


 

LINEで送る

関連記事