今では考えられないが、テレビの天板には天然木が使われていた。テレビ画面を見ない時は、引き戸の扉で隠すことができる高級な「家具調テレビ」だ。テレビが居間の中心に置かれ、家族皆が同じ番組を見ていた昭和の団らん風景が浮かんでくる。
家を取り巻くように展示された、年代物の家電も興味深い。テレビ、冷蔵庫、洗濯機の三種の神器をはじめ、大型のステレオ、さまざまな形状のラジオ、掃除機なども。解説を読まないと何なのか分からない謎めいた製品も並ぶ。
そのほか、70年大阪万博にも出品された白髪一雄の「赤牌」(1970年、油彩,カンヴァス)、戦後混乱期の雑踏を表現した前田藤四郎の「盛場近し」(1951年、リノカット,紙)、復興をけん引した広告文化の勢いが伝わってくる、早川良雄「第11回秋の秀彩会」(近鉄百貨店のポスター、1953年)など、見どころ多数。
同館の菅谷富夫館長は「企業の皆さんにご協力いただき、一緒に展覧会ができたことを誇らしく思う。グラフィック、絵画、写真など、当時、大阪で生み出されたアートは、今見ても新鮮な作品群。それぞれの時代の最先端でとんがっており、『攻めてるな』と感じる」と話した。
「みんなのまち 大阪の肖像 第2期/「祝祭」との共鳴。 昭和戦後・平成・令和」は10月2日まで。開館時間は午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)、休館日は月曜(9月19日を除く)。問い合わせは大阪市総合コールセンター(電話06-4301-7285)
(取材・文=青木理子)
◆開館記念展「みんなのまち 大阪の肖像 第2期/「祝祭」との共鳴。 昭和戦後・平成・令和」
会場:大阪中之島美術館(〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-1)
会期:2022年8月6日(土)~10月2日(日)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜休館(9月19日を除く)
観覧料(税込):一般1200円、高大生800円、小中学生無料
問い合わせ:大阪市総合コールセンター06-4301-7285
【大阪中之島美術館 公式HP】