お酒好きの人にとって、新たなお酒に出会えるのは外食での楽しみの一つ。料理とそれに合うお酒が堪能できれば満足度も高くなるが、ワインと、そのワインに合う料理にこだわったイタリアンレストランが神戸・六甲アイランドにある。店名は「アルティスタ」(神戸市東灘区・六甲アイランド)で、50種類から70種類ほどのワインを常備。多いときには100種類を超えることもあるという。
これらのワインは、シェフの中村泰一郎さんがチョイスしたものが並ぶ。中村さん自身が相当ワインを好きだということだが、若い頃にアルバイトしていた店で飲んだワインに感激して以来、「ワインは自分に合っている」と感じてハマったのだそう。そのワインは中部イタリア・アブルッツォ州で造られる、果実味豊かなフルボディ系赤ワインのモンテプルチアーノ・ダブルッツォ。今では特別感があるシャンパーニュが特に好きなのだとか。イタリア産のワインについては、「北部の方のワインはサラっとした軽やかな口当たりで、南部の方はパワフルな印象です」と表現する。
アルティスタではボトルで3000円台からのワインを揃えているが、中村さんは「3000円台でフルボトルを飲ませてくれるレストランは少ない」と自負する。お店で仕入れるワインをどのように決めているのかを聞くと、「世界中においしいワインがあります。ですが、海を越えて日本に着くまでにダメージを受けてまずくなる場合があります。インポーターのこだわりが大きく影響しますので、信用できる輸入業者から味など納得のいくものだけを仕入れています」との答えが返ってきた。
ちなみに、ワインを購入するときは服と同じ感覚で買うのだそうだ。これは、服のセレクトショップの場合、自分が気に入った店があると、今後もそこに行けば自分の好みのものが多く並ぶ。これと同じように、気に入ったインポーターのところでワインを仕入れれば、プロが目利きした自分好みのものが入ってくるのだという。そこからコストパフォーマンス、クオリティ、デザイン、造り手の思いなどを勘案した上で、中村さんが厳選したワインがお店に並んでいる。
そして中村さんは、料理とワインのペアリングについて、「ご飯といっしょにお酒を飲むことで、お互いがおいしくなるもの」と話す。料理には多くの手間暇をかけるとのことだが、これはワインといっしょに楽しむことでよりおいしく感じられるように味つけを調整しているから。例えば黒毛和牛の赤ワイン煮込みは、6~8時間煮込んだものを冷蔵庫で何日も寝かせて旨味を引き出す。全ての行程でいうと1~2週間かけるようで、小麦粉やソースなども使わない、純粋な赤ワイン煮込みのためコストも相当かかっているという。
アルティスタのように、ワインをより楽しめるように味付けをした料理を提供してくれるお店に出会えれば、ワインを好きな人はさらにその魅力に気付けそうだ。