神戸市北区の宅配物配送センターで2020年10月、男女2人が死傷させたとして殺人・殺人未遂などの罪に問われた元パート従業員の男(48)の控訴審で、大阪高裁は14日、懲役27年の実刑判決とした一審・神戸地裁の裁判員裁判の判決を支持し、被告の控訴を棄却した。
男は2020年10月6日未明、 配送センターの駐車場で、出勤直後の女性従業員(当時47)の脇腹を刃物で突き刺して殺害、男性従業員を殺害しようとしたとされる。男性は抵抗した際にけがをした。この時、配送センター内や近くの路上で車を運転し、トラックや、通報を受けて現場に駆けたうけたパトカーなど計15台にぶつけて損壊させるなどした。
一審判決で神戸地裁は、男が「一方的に好意を抱いていた女性から裏切られたと思い込み、男性従業員の日常の指導のあり方にも怒りを募らせた」などと指摘した検察側の主張を合理的と判断した。
男が荷物の扱いが粗雑だったなど、日常の仕事ぶりを良しとしない会社側の解雇通告が事件の直前にあり、弁護側は、「不当に仕事を奪われたことが犯行の引き金だ」と述べていた。そのうえで「猜疑心(さいぎしん)」=不満や誤解を生む方法は回避できなかったのか主張、一審判決には事実誤認などがあるとして控訴していた。