セイコーの腕時計は、多くの場合「アルファベットと数字の組み合わせ」によってモデルを判別するのが一般的です。そのため、ファンはニックネームによってさらにわかりやすくしやすくしているのでしょう。RYさんは、「モデルの数だけニックネームが存在すると言ってもいいくらい、数多くの愛称があります」と話します。例えば、「ツナ缶」は有名です。これは1975年に発表された、世界で初めて時計の外周にチタン製のプロテクターが用いられ、600メートル防水を実現したモデルを指します。
この製品の開発のきっかけは、プロダイバーからセイコーに届いた一通の手紙でした。セイコーはこれに応えようと、7年もの歳月をかけて開発したそうです。通常の腕時計を缶詰に入れたような外観は唯一無二です。現代の技術をもってすれば、ケースを二重にする必要はありませんが、当時の技術ではこのような手法しか無かったのだと思われます。セイコーのダイバーズウォッチが、プロのユーザーに評価され続けていて、また、一般のユーザーからニックネームを着けられるほど愛されているのは、こうした真摯な姿勢あってのことでしょう。
特徴的なニックネームは、ほかにもあります。エッジが立った、鋭い針やインデックス(文字盤上で時や分を示す目盛り)が印象的な「サムライ」や、どっしりと、ボリューム感がある「スモウ」、ベゼルの目盛りなどが、怪物が大きな口を開けたときのように見える「モンスター」などです。世界中の人が聞いてすぐにそのモデルをイメージできるように名付けられていますね。
◆世界中の海でセイコーを愛用するRY「日本の時計を使う誇らしさある」
RYさんは、世界中の海の仕事に従事する「船長」でもありますが、実際に仕事中にセイコーのダイバーズウォッチを愛用しているそうです。腕に巻いたときにテンションの上がる外観や、ハードな勤務に耐えるスペックに、RYさんは全幅の信頼を置いているようで、何より「日本の時計を使っている」と、誇らしく思うといいます。他にも、海外の腕時計ファンとの会話の中で、褒められたり、それがきっかけで話が弾んだりするそうです。
「SEIKO」(セイコー)はグローバルブランドに成長し、SNS(会員制交流サイト)を見れば、海外からの投稿が多く見られます。過去の人気モデルを現代的にアレンジした「復刻モデル」も人気です。今後、どのようにファンの期待に応えるのか、注目が集まります。
(ラジオ関西Podcast『やさしい腕時計』 #14『「サムライ」「モンスター」…海外でも愛される「セイコーダイバーズ」の魅力』より)