「女王」これ、何と読みますか?

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 放送ではたくさんの言葉を使います。とても自由に話しているように見えたり聞こえたりするかもしれませんが、そこにはいろいろな決まりがあります。シリーズでお伝えしている「放送のことば」。今回は「女王」です。

 先日、「イギリスのエリザベス女王が亡くなった」ことを伝えていた女性アナウンサー。その時「あ、揺れている」と気づきました。揺れていたのは「女王」の読み方です。実はこの女性アナウンサーは「じょうおう」と伝えていたのです。「何で『う』が入るの?」という方もいれば、「女王は『じょうおう』でしょ。『じょおう』なんて変」という方もいると思います。私は後者、「じょおう」です。しかし実はこれ、もうずいぶん前から話題になっている言葉なのです。

 広辞苑(※1)を開きました。「女王」は「じょおう」のところに意味がくわしく出ています。では「じょうおう」はというと、「『じょうおう』… →じょおう」とだけありました。斬新な説明や新語が充実している新明解国語辞典(※2)には「じょおう」はありますが、「じょうおう」は載っていませんでした。すべてを確認したわけではありませんが、現段階で国語辞典は「じょおう」という読み方を採用しています。

 なぜ「じょおう」が「じょうおう」になるのか。日本俗語辞典(※3)を開くと、「『じょおう』の慣用的発音。」とありました。つまり、使われているうちに、本来のものではない読み方に変化していったとみられます。

 一方、「『サバを読む』の『サバ』の正体 NHK気になることば」(新潮社)には「女王」の読み方について、こんな説明があります。「二拍だと音が安定し、言いやすいということがあるのです。(中略)日本語の漢字二文字からなる音読みの言葉には、漢字どおりの読み方をしないものもあります。例えば、『夫婦』。『夫』『婦』の一文字ずつ読むと、『フ』と『フ』で、『フフ』ですよね。しかし、『フーフ』と発音し、定着しています。」などとあります。この本が最初に出版されたのが2014(平成26)年3月1日ですので、8年あまりたっていますが、「じょうおう」が定着しているとはまだ言えません。

 ただ、こうした慣用的な表現が拡がり、読み方が変わっていく例は他にもたくさんあります。「じょおう」も「じょうおう」に変わる時が来るかもしれません。しかし現段階では「じょおう」が正解です。

 言葉は時代とともに、その意味も使い方も変化します。「ことばコトバ」では、こうした言葉の楽しさを紹介していきます。

※1広辞苑第七版(岩波書店) ※2新明解国語辞典第八版(三省堂)※3日本俗語辞典新装版(東京堂出版)

(「ことばコトバ」第70回 ラジオ関西アナウンサー・林 真一郎)


◆「ことばコトバ」アーカイブ記事

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