ここ数年、小規模なビール醸造所でビール職人が精魂込めてつくっている“クラフトビール”が大人気です。ほかにも、“クラフトコーヒー”や“クラフトコーラ”など「クラフト〇〇」といったワードをよく見たり聞いたりしませんか?
それはスイーツの世界にもあって、今回紹介するのは『シオヤチョコレート』(神戸市垂水区塩屋町)。小さな工房から発信される手づくりのチョコレートは、クラフトビールならぬ“クラフトチョコレート”として人気を集めています。
『シオヤチョコレート』では原料となるカカオひとつとっても、世界中の農園から良質な豆だけを仕入れています。その豆をすり潰すところから同店のチョコレートづくりは始まります。また「できたてを届けたい」との思いから、少量生産を徹底。そこまでこだわったチョコレートは、いったいどんな味がするのでしょうか? 実際に工房に行き、店長の福岡さんに話を聞いてみました。
――福岡さんがチョコレートに興味を持たれたきっかけは?
「カカオ豆」と「砂糖」。このふたつだけで、おいしいチョコレートがつくれるのを知った時ですね。すごくシンプルな事なんですけど、かなり衝撃を受けました。チョコレートを通して、色んな人が店に集まったりつながれたら素敵だなぁ!と感じました。
――世界のカカオ農園から、良質な豆を仕入れているそうですね
原料のカカオ豆の栽培・収穫も含めると、チョコレートが完成するまでって実はものすごく長い工程を経ているんですよ。その中でも、収穫した豆を「発酵させる」という工程があるのですが、これがとても重要で。「発酵」がきちんとできているかどうかが、カカオ豆の質を左右するといっても過言ではないため、私も現地に同行し、自分の眼でしっかりと見て選んでいます。
――ショップには色々なチョコレートがありますが、福岡さんのおすすめは?
カカオ豆をすり潰していくと、どんどん滑らかなテクスチャーになっていくんです。ですが、あえて途中で止めて豆の食感を残したものを推していますね。「ザクザク感が面白い」と人気です。
――新作チョコレートの発売予定はありますか?
エクアドル産カカオ豆を使ったチョコレートを新作として発売します。舌の上で溶けだした途端、芳醇な花の香りが広がります。また軽い渋味が特徴で、コーヒーやお酒にも合う「大人のチョコレート」といった感じです。これ、本当においしいんですよ!
――豆の産地によってチョコレートの味って全然違うのですか?
そうなんです! 酸味、フルーティー、アーモンドミルク風……産地が違えばカカオの味も全く変わってきます。小規模な工房だからこそ、他店ではあまり扱わないような産地のカカオ豆を使用できますね。そこがクラフトチョコレートの醍醐味だと思っています。