「全く売れず大失敗しました(笑)。眺めて楽しむものよりも、ギャンブルのようなドキドキ感・ワクワク感がある方が人の心を動かすのでは……と考えなおし、開発したのが“ルーレット付き”でした」(進藤さん)
こうして誕生したルーレット式おみくじ器は大当たり! 全国で大ヒットし、1980年代には年間20万台以上売れたといいます。
その後、少しずつブームはおさまり、販売台数も落ち着いたのがおよそ10年前。商品の代理販売をまかせていた中間業者が減ってきたこともあり、進藤さんみずから指揮をとって会社ホームページを立ち上げました。
「それまで主流にしていた大量受注以外に、個人での少量注文も受け付けるようになりました。そのため、小さな個人経営のお店からもたくさんの注文をいただけるようになったんですよ」(進藤さん)
発売からおよそ40年。日本でルーレット式おみくじ器を作っている会社は『北多摩製作所』だけに。
とはいえ、今でも年間およそ2000台が売れているそうです。また、岩手県滝沢市の特色ある産業として認められ、ふるさと納税の返礼品にも選ばれています。
進藤さんによると、ルーレット式おみくじ器の特許は保有していないそう。厳密にいうと、かつては製造・販売の特許を取得し保有していましたが、いまや更新していないのです。
「新規参入がない」そして「100円硬貨しか受け付けない仕組みの調整は他社にはマネできない」ことが、理由だそうです。
最後に進藤さんに、ルーレット式おみくじ器への思いを聞きました。
「業績が厳しいとき、ルーレット式おみくじ器に我々は何度も救われてきました。本当に恩人のような存在です。だから今後も作り続けます!」(進藤さん)
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昭和の香りが色濃く残る純喫茶に、卓上おみくじはよく似合います。もしテーブルの上に見つけたなら、100円玉をそっと一枚入れてみて。きっと懐かしい気持ちに浸れるはずです。
◆阪田マリン
2000(平成12)年生まれ。中学2年生のころ、チェッカーズのレコードを聴いたことがきっかけで昭和カルチャーに魅了される。昭和に流行したファッションやヘアスタイルなどに自分らしさを取り入れた「ネオ昭和」を提案しSNSで発信中。