サッカー・J1のヴィッセル神戸は8日、明治安田生命J1リーグ第32節でサンフレッチェ広島と対戦する。会場はホームのノエビアスタジアム神戸。キックオフ予定は午後2時。
9月から10月にかけて、大事なJ1残留争いの直接対決で、ライバルのガンバ大阪やアビスパ福岡に勝利することができたヴィッセル。一時はJ1残留圏内の15位と勝点8差の最下位も経験(※J1第18節終了時点)したが、1シーズンで4人目の監督になった吉田孝行氏のもと、J1第19節以降のチームは、2度の3連勝を含む7勝を獲得。勝点を34に伸ばし、順位も今シーズン最高となる12位へ浮上。今節、勝利をおさめて、17位のG大阪(勝点30)が同日の試合で敗れれば、まずは16位以上が確定、J2自動降格を回避できるところまできた。
しかし、ヴィッセルからG大阪までは、勝点4の中に6チームがひしめく大混戦。「1試合勝つか負けるかで大きく状況がかわる」と気を引き締めるのは、吉田孝行監督。だからこそ「目の前の試合に集中していく。もちろん4連勝すればベストだが、それに近づけるようにしたい。次の広島戦は非常に重要になる」(吉田監督)。
ただし、広島は現在のJ1で最も好調なチームと言えるだろう。今シーズンから指揮をとるミヒャエル・スキッべ監督のもと、天皇杯(天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会)とJリーグYBCルヴァンカップではともに決勝に進出。J1リーグ戦では31試合を終えて3位、1試合消化の少ない2位の川崎フロンターレと同勝点(勝点54)を獲得している。8月からここまで、公式戦で負けたのはJ1第29節の川崎F戦のみ。引き分けもJ1第30節名古屋グランパス戦の1試合。リーグ戦ではこの約2か月で5連勝を含む6勝を稼いでいる。ヴィッセルにとっては強敵との対戦が待っている。
しかも、スキッベ監督体制の広島は、「プレッシングが一番のストロング(ポイント)。相手陣内で奪い切ってショートカウンターが一番多い」(吉田監督)チーム。今シーズン、ヴィッセルは柏レイソルやセレッソ大阪、京都など、ハイプレスを仕掛けてくる相手に苦戦を強いられてきた。今回の広島も、クラブ育成組織出身、いま最も勢いのある大卒ルーキーのMF満田誠選手をはじめ、豊富な運動量と組織的なチェイシングで襲い掛かってくることだろう。そこをいかにかいくぐって得点につなげられるかは、ヴィッセル勝利のポイントになる。
前回の広島との対戦は、3月6日のJ1第3節。三浦淳寛氏が指揮をとっていた当時は、FW小田裕太郎選手のドリブルからチャンスを作り、MF山口蛍選手の折り返しをMFアンドレス・イニエスタ選手がゴールにつなげて先制。しかし、終盤にセットプレーから広島DF佐々木翔選手のヘディングシュートで同点に追いつかれ、1-1の引き分けに終わった。あれから半年以上が経ち、お互いにチーム状況も変化した中での戦いになるが、後半戦になって一体感が増しつつあるヴィッセルが、FW大迫勇也選手、FW武藤嘉紀選手、前節に加入後初得点を決めたMF小林祐希選手らを軸とした攻撃で、成熟した広島に対してどこまで立ち向かえるかが、試合の見どころになるだろう。
試合前日の取材対応で「(広島は)チームとして勢いがあり、結果をみてもたくさん得点をとっている。非常にいいチーム。対戦が楽しみ」と述べたDF菊池流帆選手は、「チームとしても自信がついてきた。3連勝で勢いもある。いまはみんなが戦っているなという感じ」と今のヴィッセルに手ごたえをつかむ。そして、「この一戦に勝ちたい気持ちが強い。勝つだけ」と必勝を期す。また、小田選手は「非常に大事な一戦。僕らのホームでの試合なので、相手は順位が高い位置にいて調子がいいが、しっかり勝てるように準備したい」と虎視眈々と勝利への気合いを込めている。
ヴィッセルのホームゲームは残り3試合。この広島戦も含めて、3試合とも対象エリアでの声出し応援が可能となったなか、クリムゾンレッドサポーターの心強い声援を後押しに、今シーズン初の4連勝を目指す。そのためにも、まずはチームJ1通算1050得点目となるゴールで先手を取りたい。