女子サッカーのプロリーグ、「2022-23 Yogibo WEリーグ」は、23日、第1節の3試合が行われた。初代女王のINAC神戸レオネッサは、ホームのノエビアスタジアム神戸で大宮アルディージャVENTUSと対戦し、エースFW田中美南選手の2ゴールで2-0と勝利した。
Jリーグ・ヴィッセル神戸で現役時代、長らく活躍した朴康造監督にとっては、思い出深いノエスタでの最初の采配となった試合。リーグ戦初陣のスターティングメンバーは、GKがWEリーグ初代MVPの山下杏也加選手。DFは3バックで、右から新加入の土光真代選手、新キャプテンの三宅史織選手、昨シーズンにブレイクした竹重杏歌理選手。両サイドには右に守屋都弥選手、左に背番号が14となった水野蕗奈選手。アンカーの位置には新加入の脇阪麗奈選手、中盤には右に成宮唯選手、左に伊藤美紀選手が入り、前線には田中選手と阪口萌乃選手が並んだ。また、U-20女子W杯MVPのFW浜野まいか選手はベンチからのスタートになった。
一方の大宮Vは、4-4-2の布陣。元INAC神戸のDF鮫島彩選手が先発、GKスタンボー華選手とMF仲田歩夢選手が控えに入った。
クラブの演出もあって、屋根が閉まった状態で行われたこの一戦。声出し応援が適用された試合ではサポーターのチャントが響くなか、前半、主導権を握ったのは、ホームのINAC神戸。前線からのプレスの鋭さ、ボール回収率の高さをいかして、敵陣に相手を押し込む場面が続く。田中選手や成宮選手らが決定機を作るなど、攻勢を続けると、35分、待望の先制点を獲得。脇坂選手のパスを受けた左サイドの水野選手がゴール前へクロス。これをファーにいた田中選手がダイビングヘッドで合わせ、ゴールに押し込んだ。
「ふっきー(水野選手)が本当にいいボールをあげてくれるので。(ゴールシーンも)相手の頭を越した、いいボールをくれました。(ボールが来るのを)信じて、そこに呼び込んだので、自分のなかでしっかり準備ができたなか、コースも見えていたので、しっかり当てよう、大事に行こうと思って(ヘッドをあわせ)ました」(田中選手)
1-0とリードして前半を折り返したINAC神戸。後半も追加点を狙いにいくが、前半のようなプレスがかかりにくくなったことで、劣勢の場面も。仲田選手や、なでしこジャパンのFW井上綾香選手らを投入して反撃に出る大宮Vに、カウンターなどでピンチを招く。それでも、三宅選手を中心にチーム全体で身体を張って守り、得点を許さない。
すると終盤、INAC神戸に貴重な追加点が生まれる。80分(後半35分)、土光選手の縦パスが途中出場のFW髙瀬愛実選手に入ると、これがスイッチに。右へ展開し、守屋選手が右クロスを送ると、ニアで成宮選手がダイビングヘッド。そのボールがファーに流れたところを田中選手が左足であわせてゴールを決めた。
「(守屋)都弥に入ったときも、信じて走ろうと思って……、なんかファーにくる気がして、しっかり詰めて、準備ができていました」(田中選手)
試合終了間際には浜野選手が出場。与えられた時間は少なかったが、ゴールへの意欲を示していた。3336人の観衆が見守った試合は、2-0で終了。20本のシュートを放って攻撃的な姿勢を見せたINAC神戸は、昨シーズンに続いてホームでの開幕戦を勝利で飾った。
試合後、朴監督はノエスタでの初めての指揮について、「WEリーグデビューということで、緊張感もあったが、自分自身楽しみたいなという気持ちもありましたし、それを選手に伝えさせてもらいました。選手は自分たちのサッカーを出してもらえたと思います」と、選手に感謝。また、2得点の田中選手について、「開幕に来る前までのカップ戦での動き、練習試合での動き、代表での得点であったり、非常に流れがよかったので、今日も取るんじゃないかなと期待していましたし、しっかり結果に出してくれましたので、やはりエースだなと思います」と称えていた。