各地で「子ども食堂」と称する事業が広がっている。大まかに言うと、地域の子どもたちに無料または低額で栄養がある食事や楽しい団らんの場を提供する社会活動である。姫路市内では17か所が市のホームページに挙げられているが、ここで取り上げる子ども食堂には、営業中の飲食店を利用して昼間にオープンしているという特長がある。
場所は同市上手野にある焼鳥店「ゆ鳥山吹店」。同店を経営する産業機器商社「ツボサカ機鋼」(同市北今宿)と、「子ども食堂を通じて地域交流の場を作りたい」との思いを持っていた地域密着型の通所介護施設「はなのいえ」(同市青山北)が意気投合して開設したもので、運営は「はなのいえ」が担っている。
ここは年齢問わず利用可能(大人500円、中学生以下300円)で、ご飯とみそ汁のおかわり自由。ご飯をおかずにご飯が食べられるというほど、お米がおいしいのが自慢だ。
また、「あしながカード」という制度も特長のひとつ。仕事帰りに一杯飲んだ客が勘定ついでに1枚につき300円を払って店に預けておけば、子どもなら誰でもそれを利用して無料で食事ができるというシステム。まさに大人が地域の子どもたちを育てていこうというスタンスで、1人で10枚以上寄付してくれた賛同者が早くも現れたという。
かつての日本では当たり前だった家族団らんや近所付き合いを通じ、「これからの日本を背負う子どもたちを育てていきたい」と両者は話す。
子ども食堂は、日・月曜を除く午前11時30分から午後1時30分まで実施されている。
(取材・文=播磨時報社)