サッカー・J1のヴィッセル神戸は9日、GK飯倉大樹選手(36)との契約満了に伴い、2023シーズンの契約を更新しないことが決まったと発表した。
1986年6月1日生まれ、神奈川県出身の飯倉選手は、アカデミーから育った横浜F・マリノスで長年にわたってGKとしてのキャリアを積み、2019年7月からヴィッセルに加入。GKとしての守備能力の高さはもちろん、自身の特長とする足もとの技術やビルドアップ能力をいかして、超攻撃的なポジショニングをとり、近年のヴィッセルが志向してきたサッカーを最後尾から支えていた。2019年シーズンの天皇杯優勝、2度のACL(AFCチャンピオンズリーグ)出場、昨シーズンのJ1でのクラブ最高となる3位など、躍進を遂げたチームでの貢献度は高いものがあった。
今シーズンはJ1リーグ戦14試合、Jリーグルヴァンカップ1試合、天皇杯4試合、ACL1試合(プレーオフ)の出場にとどまったが、前半戦の低迷や度重なる監督交代でチームが苦境に陥るときにも現状をしっかり認識する発言を行うだけでなく、チームの盛り立て役にもなるなど、クリムゾンレッドには欠かせない選手の1人だった。吉田孝行監督就任直後の7月、チームがJ1で3連勝するなど盛り返したときにはピッチ上で存在感を発揮していた。
ここまでJ1通算288試合出場という実績を誇る飯倉選手。「飯倉チャレンジ」といわれたアグレッシブなプレーや、「枝豆さん」というキャラでもサポーターから愛された18番は、クラブを通して次のようにコメントしている。
「ヴィッセル神戸を愛する皆さん。お別れの挨拶をする時がきました。出会いの数だけ別れもあります。これは人生の法則です。前置きは良いので、本題に入ります。
神戸に来て3年半が経ちました。皆さんは、僕の言動やプレーでハラハラドキドキされたと思います。そんな中、たくさん応援していただき、本当に幸せでした。
ヴィッセル神戸は、ワールドクラスの選手や日本代表の選手を多く揃え、日本サッカー界やファンを盛り上げるチームであります。素晴らしい選手とプレーし、タイトルを獲れたことをうれしく思います。
また、僕はヴィッセルの『スタイル』をつくりたいと思い来ました。ファン、サポーターが見ていて楽しく、勝っても負けてもこれが『ヴィッセルだ』と言えるものをつくりたかった。常に勝ち続けるための『スタイル』をつくりたかった。今までチームに対して求め、発言してきました。誰かが言わないと変わらないし、きっかけにもならない。だから僕は言い続けてきました。
親父の小言はここまでです。ヴィッセル神戸とファン、サポーター、一緒に戦った仲間が幸せであることを祈ってます。3年半ありがとうございました」