――“パルナス”とはどういう意味なのでしょうか?
【藤中さん】 ギリシャのパルナッソス山が語源です。パルナッソスはフランス語では「パルナス」と読み、パルナッソス山は「モンパルナス」と発音します。パルナッソス山はギリシャ神話ではミューズが住む山とされており、詩、音楽、学問の発祥地といわれています。
創業者の古角松夫さんはひとまずフランス語の社名にしたみたいですが、戦後すぐにロシア料理に触れました。「パルナス」はウクライナの名字に多いらしく、そのことを聞いてヒントにしたのかもしれません。
――当時はどれくらいの人気だったのでしょうか?
【藤中さん】 昭和40年代に放送されていたテレビコマーシャルでは、とても人気でした。関西圏で生まれ育った45歳以上の人であれば、おそらくほぼ全員が知ってるのではないでしょうか? それほど馴染みのあるお菓子でした。
――ちなみに、あの有名なCMにはどのような意味が込められているかご存知でしょうか?
【藤中さん】 推測ですが……、CMには「グッとかみしめてごらん。ママのあたたかい心がお口の中に染み通るよ」という歌詞があります。そこから想像するに、「母親が子どもに愛情を込めて与える安心安全なお菓子」という意味と、それをありがたく食べる子どもの気持ちを表しているんじゃないかと思います。
また、古角社長は冷戦時代にソ連の女性菓子技術者エフドーキナ・アンドレエブナ・オージナさんと40年にわたり文通されていた経緯もあり、「平和であればこそ、おいしい食卓をみんなで囲みたい」という思いも表れているのではないかなと思います。
――「パルナス復刻委員会」を立ち上げたきっかけは?
【藤中さん】 もともと古角社長とは同郷(兵庫県加西市)でして、実は同級生に古角社長の親戚もいたんです。そのときは嘘だと思っていたのですが(笑)。そのような環境で過ごしていたなか、パルナスが地元発祥だと初めて知ったのは2003年のこと。そこから、当たり前にあったパルナスがなくなっていくのを放っておけず、プロジェクトを立ち上げたという感じです。私たちは知ってて当たり前の世代なので、パルナスはまさに“昭和関西の文化遺産”ですね。
――どのような活動をしているのでしょうか?