中国女性の論争巻き起こした主人公の選択 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

中国女性の論争巻き起こした主人公の選択

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 アン・ランには、だんだんと弟を思いやる気持ちが生まれ、母親のような感覚も芽生えていきます。北京で医者になるという固い決意が揺らぎ始め、彼女は葛藤します……。

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 この映画の背景にあるのは一人っ子政策です。中国で急激な人口増加を抑えるために1979年から2015年まで行われたもので、夫婦1組につき子どもは1人までと制限され、違反すると厳しい罰則や重い罰金が科されました。第一子が非遺伝性の身体障がいを持つ場合は例外的に第二子の出産が認められることがあったということで、今作にはアン・ランが役場の職員の前で障がい者のふりをするように父親から命じられるシーンが出てきます。

 現代の中国でも、家を継ぐのは男だとして男子を尊重する伝統が根強く残っていて、高齢者福祉が十分でないことから「老後は子どもに面倒をみてもらいたい」と考える親が多いそうです。娘は将来結婚して親元を離れてしまうため、男の子が生まれるのを望む傾向が大きいと指摘されています。

 今作への共感が家父長制に影響を受けている女性ら若者を中心にSNSで広がり、中国で興行収入170億円を超えました。2021年に公開されたのですが、同時期中国公開のハリウッド作品を超える大ヒットです。

サブ6

 主人公のアン・ランに扮するのはチャン・ツィフォン。中国で次の世代を担うスターで、四川省成都の方言を完璧にマスターして撮影に臨んだそうです。弟のズーハンを演じる子役はダレン・キムで映画初出演。撮影当時は4歳半でしたが、6歳の役柄として自然な演技を披露しています。

 監督はこれが2作目のイン・ルオシン。彼女は今作に“自分の人生は自分で選ぼう”というメッセージを込めたといいます。

 深刻な社会問題を扱いながら、重くなりすぎないよう工夫され、物語を身近に親しみやすく感じられるよう描かれています。映画『シスター 夏のわかれ道』は11月25日(金)、公開です。(SJ)

ポスター

◇映画『シスター 夏のわかれ道』(原題:我的姐姐)
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。

出演:チャン・ツィフォン シャオ・ヤン ジュー・ユエンユエン ダレン・キム

監督:イン・ルオシン 脚本:ヨウ・シャオイン

配給:松竹
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