神戸の街を歩いていると、中高生が持っている手提げバッグに目を引かれたことはありませんか? ネイビーやブルーの生地に、クマやウサギの大きなアップリケが付いたかわいらしいビジュアル……。もしかするとそれは、神戸市に本社を置くアパレルメーカー『ファミリア』のバッグかもしれません。
創業時から「子どものためにより良いものを」という理念が根底にある『ファミリア』は、なんといっても丁寧な縫製やデザイン性の高いベビー服や子ども服で知られています。そんな同社のバッグが、なぜ女子学生から注目を集めるようになったのでしょうか? 広報担当に話を聞いてみました。
同社は、1950年に神戸市三宮で4人の女性によって創業。社名には「あたたかい、家庭的な雰囲気を大切にしたい」という想いが込められており、フランス語で「家族」、英語の「家庭的・親友」を意味する“familiar”から名付けられました。
「学生のお客さまにご愛用いただいている通称『デニムバッグ』は、1957年から販売されています。もともとは、ピアノの楽譜を折り曲げずに入れることができる『お稽古用バッグ』として開発されました」(広報担当)
発売当初はピアノ教室などに通う際に活躍していましたが、次第に通学用のサブバッグとして神戸の児童・学生の間で流行していったそうです。
「『ファミリアのデニムバッグは学校指定なんですか?』というご質問をいただくのですが、弊社でスクール用バッグを販売したり、学校側で指定バッグにしていただいているわけではありません。ただし、一部の学校でオリジナルバッグを作らせていただいたこともあり、そこでサブバッグとして使用する学生さんもおられます。そこから、自然と学生さんの間で広まっていったのかもしれません」(広報担当)
デニムバッグが神戸の学生たちの間で広まったきっかけやタイミングははっきりしていないそう。ですが、ピアノのお稽古で使用されていたところから発展し「神戸の上品な女子高生たちが持つアイテム」という憧れが高まっていった……と考えれば人気なのもうなずけますね。
デニム生地で作られているのもポイント。シンプルな色合いが制服に合わせやすいことや、縫製が丈夫かつ最寄りのファミリアショップに持ち込めば持ち手の修理も可能ということで、卒業まで安心して使えることも人気の理由だとか。
「発売当初から女子中高生の間で話題だったのですが、それを見た新入生の皆さんが『私も持ちたい!』と愛用してくださるケースは多いようです。中学校や高校に入学してから卒業までの3年間、ずっと大事に使っているという話も聞きますし、本当にありがたいことです」(広報担当)