子どもにスポーツをさせることは心身の成長に良い影響を与えるとされるが、神戸市にスポーツ用品の販売を通じて青少年の成長に貢献するということを経営理念の一つとしている会社がある。『株式会社ワールドスポーツ』(神戸市西区)だ。代表取締役の波多野翔士さんに話を聞いた。
同社は神戸市内の中学校をメインに部活動のユニフォームなど各種スポーツ用品の販売、学校指定体操服の販売などを行う。跳び箱、マット、ハードルなど体育の授業で必要な備品も扱っている。波多野さんの父親が創立し、波多野さん自身は現在のポジションになり4年目を迎えた。
新型コロナウイルスが流行しはじめたころに、学校が休学となった時期が3か月ほどあった。ちょうど春の入学シーズンだったため、新入生のユニフォームなどを販売する大切なタイミングに商売がストップしてしまったという。
「あの時は緊急事態宣言が明けるのを待つしかない状態でした。ですが、宣言が明けて以降は売上が戻ってきたので、飲食業界に比べればまだましなのかな……という感覚はあります」(波多野さん)
部活動のユニフォームやスポーツ用品を取り扱うが、神戸市内のおよそ80校の中学校を営業担当が分担している。部活動ひとつとっても、かつてと現在では明らかな違いがあると波多野さんは感じている。
例えば陸上のスパイクは昔なら全部員同じものを履くことが多かったそうだ。だが、今は選手一人ひとりのこだわりがあり、デザインや機能が多岐にわたるので、一種類の商品を扱うだけでは対応が難しくなりつつあるとのこと。
「選手の要望に限りなく合致する商品を選んでの提案は必須ですね。また、サイズ採寸もしっかり行います。実装して合わなければ交換も可能。アフターフォローの部分で他社との差別化を図っています」(波多野さん)
また「競技数」×「メーカー数」で考えると商品はかなりの数にのぼる。そのため、いかに営業担当がアイテムの知識を持っているかが重要な鍵なのだそう。
「クラブチームのオーナー様からしっかりニーズを引き出し提案する……という部分も力を入れています」(波多野さん)
同社の経営理念の一つに「スポーツ用品の販売を通じて、青少年の健全な成長に貢献します」という一文がある。波多野さん自身、小学生ではサッカー、中学以降はハンドボールをしており、スポーツを通じて得られるものが多かったという。
「私自身、体力面・健康面はもちろん、精神面で成長できました。こうした経験を学生さんにもしてほしいと願っています」(波多野さん)
人間形成においてスポーツが果たす役割の大きさを知る波多野さんだからこその取り組みも行っている。「冬季の野球大会」もそのひとつだ。これは、冬に野球の大会開催数が少ないという点に着目したという。