神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件をめぐる全ての事件記録が廃棄されていた問題を受け、この事件で次男・淳さん(当時11歳)を亡くした土師守さんが最高裁に、遺族との面会と意見聴取を求める要望書を送付した。土師さんと代理人弁護士が2日、明らかにした。
最高裁の内部規定では、少年事件の記録を、少年が26歳になるまで保存するとしているが、史料的価値の高い記録や社会的影響が大きかった事件の記録などは、26歳以降も「特別保存」として事実上、永久保存するよう規定している。
しかし2022年10月以降、全国各地で重大少年事件の記録廃棄が判明しており、最高裁が設置した有識者委員会で今後の記録保存の在り方の検証が始まった。
土師さんは10月28日、神戸家裁に対し、記録が廃棄された経緯の調査を求める要望書を提出している。今回の要望書は、最高裁事務総長と、有識者委員会座長に宛てられた。
土師さんは今回の要望書に、記録廃棄によって被害者遺族が受けた精神的苦痛など心情を聞き取るため、委員会と直接面会することを求めている。さらに記録の永久保存を望む思いも反映してもらいたいと訴えている。
神戸家裁は連続児童殺傷事件の全記録を2011年2月28日に廃棄したとしている。最高裁の聴取は11月、神戸家裁の当時の職員から廃棄に至った経緯などを聴取した。