3つの百景で兵庫を旅する 懐かしい? それとも初めて見る風景? 「川西英~三つの百景」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

3つの百景で兵庫を旅する 懐かしい? それとも初めて見る風景? 「川西英~三つの百景」

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 神戸やその周辺にゆかりのある人なら、この人の作品を1度は目にしたことがあるはず。今も幅広い年代に愛される創作版画家・川西英の3つの百景を一堂に紹介する特別展が、神戸ゆかりの美術館(神戸市東灘区)で開かれている。後期の展示が11月22日に始まった。2022年12月25日(日)まで。

「神戸百景」<中突堤>1935年 木版色摺・紙 15.2x26.2cm 神戸市立博物館蔵(前期展示)
「神戸百景」<中突堤>1935年 木版色摺・紙 15.2x26.2cm 神戸市立博物館蔵(前期展示)

 川西英は、生涯に3度、百景と題する風景連作を制作した。今回初めてその3つが揃って公開される。木版画による「神戸百景」(1933~36)、1952年に神港新聞社の依頼で制作が始まった戦後の「神戸百景」(新神戸百景)、そして神戸新聞社の連載のため、兵庫県内の名所をポスターカラーで描いた「兵庫百景」(1962~63)。

 新聞社が所蔵していた「兵庫百景」は阪神淡路大震災で失われたとされているが、それとは別に愛好家が川西英に特別に依頼して描いてもらった「兵庫百景」(1963)が残っており、こちらが展示される。

「新神戸百景」<王子動物園>1952~61年 水彩、ポスターカラー・紙 28.1x25.0cm 神戸ゆかりの美術館蔵
「新神戸百景」<王子動物園>1952~61年 水彩、ポスターカラー・紙 28.1x25.0cm 神戸ゆかりの美術館蔵

 3つの百景は描かれた時代が異なることから、その当時の風景だけでなく文化や人々のくらしを垣間見ることができる。戦前に制作された「神戸百景」では、モダンな港町神戸に人力車や着物姿の女性などが描かれている。建物も低くレトロ感を漂わせている。

 山側には農村風景が広がる。「新神戸百景」では、版画のタッチは残しつつ戦後変わりつつある街の様子を捉えた。「兵庫百景」では神戸だけでなく兵庫県内の名所を取材し描かれている。

 また、「神戸百景」の制作に使われた版木も展示されており、制作の過程を見ることができるほか、作品と、描かれたその場所の最近の様子をスライドで紹介するコーナーもある。

「神戸百景」<阪神地下鉄のりば>1933年 木版色摺・紙 15.6x25.9cm 神戸市立博物館蔵(前期展示)
「神戸百景」<阪神地下鉄のりば>1933年 木版色摺・紙 15.6x25.9cm 神戸市立博物館蔵(前期展示)
「兵庫百景」<余部鉄橋>1963年 ポスターカラー・色紙 27.2x24.2cm 神戸市立博物館蔵(後期展示)
「兵庫百景」<余部鉄橋>1963年 ポスターカラー・色紙 27.2x24.2cm 神戸市立博物館蔵(後期展示)

 今も残るもの、変わったもの、もう見ることはできないもの、また「当時はここが名所だったのか」「こんなところがあったのか」という発見もあり、「時を超えた旅を楽しめる」と神戸ゆかりの美術館の辻智美学芸員は話す。

展示風景「新神戸百景」右端は<ラジオ関西>1952~61年 水彩、ポスターカラー・紙 28.0x25.2cm 神戸ゆかりの美術館蔵 
展示風景「新神戸百景」右端は<ラジオ関西>1952~61年 水彩、ポスターカラー・紙 28.0x25.2cm 神戸ゆかりの美術館蔵 
制作に使われた<神戸百景版木>1933~36年 
制作に使われた<神戸百景版木>1933~36年 

特別展「川西英~三つの百景」
2022年10月15日(土)~12月25日(日)
 後期展示11月22日~12月25日
神戸ゆかりの美術館 神戸市東灘区向洋町中2丁目9-1
休館日 毎週月曜日

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