2025年大阪・関西万博の会場整備事業をめぐり、映画作家(映画監督)の河瀨直美氏やメディアアーティストの落合陽一氏、放送作家の小山薫堂氏などがプロデューサーとしてデザインを手掛ける「シグネチャーパビリオン(テーマ館)」の入札が、相次いで不成立となっている。
資材価格の高騰や、建設工事の難易度の高さが主な要因だが、運営する日本国際博覧会協会 では、会場建設費の上限としている1850億円(国・大阪府/市・経済界で分担拠出)に上乗せはせず、設計変更や、プロデューサー側からの協賛金で賄うことを基本ベースにするスタンスは変えないという。そのうえで、早ければ年内から2023年初めにかけて再入札を行う。
「シグネチャーパビリオン(テーマ館)」は、8人の著名人がプロデューサーが、大阪・関西万博のメインテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に関連したパビリオンを展開するもの。このうち5件のパビリオンと1つの施設の入札が、12月12日までに不成立になった。予定価格は6億円~14億円だった。
テーマ館5件のうち2件は入札がなく、残り3件は予定価格内の応札がなかった。テーマ館をめぐっては、このほかにも、10月に生物学者・福岡伸一氏プロヂュースの施設も不成立となり、8件中6件で整備の担い手が決まらない事態となっている。
14日に大阪市内で会見した石毛博行・博覧会協会事務総長は「テーマ館は独創的で、デザイン性重視のため、発注者(博覧会協会)と応札者それぞれの思いや考え方がすぐに一致するわけではない。こうした乖離を分析して、互いの着地点を見出したい」と述べた。その一方で、「会場のデザインが魅力のないものになってはいけない。なおかつ限られた予算があり、設計変更も視野に入れる」との考えも示した。