なぜ?「からし」がついていない納豆パックが増加中 「昔と今で役割違う」「入れる派は52.5%」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

なぜ?「からし」がついていない納豆パックが増加中 「昔と今で役割違う」「入れる派は52.5%」

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 全国納豆協同組合連合会の『納豆に関する調査』(2021年6月発表)によると、消費者が納豆を食べるとき入れるものとして最も多いのは「添付のタレ」(84.7%)、次いで多いのが「からし」(52.5%)だそうで、どちらも納豆の付属物としては定番となっています。

 ここでひとつの疑問がうかびました。それは「各メーカーが納豆をよりおいしく食べられるよう自社開発のタレを付属させるのはわかる。でも、なぜからしまで?」ということです。

 納豆にからしが付属されている理由について、全国納豆協同組合連合会(以下、納豆連)に聞きました。

納豆パックには「たれ」と「からし」の付属が定番

 納豆連によると、「納豆にからし」の歴史は江戸時代にまで遡るとのこと。

「かつて冬を越すための貴重なタンパク源として重宝されていた納豆は、気温の低い時期に作られていました。納豆食の文化が広がり通年食べられるようになりましたが、問題となったのが納豆の“ニオイ”。納豆は気温が上がると再発酵が進み納豆菌が醸すニオイがより強くなるため、気温が高い季節に食べられることが避けられていました。ですが、それを解決したのが“からし”だったのです」(納豆連)。

 からしにはニオイを包み隠す効果があるとのこと。少し発酵が進んだ納豆でもおいしく食べるためからしは必須となっていき、現在の「納豆にからし」につながっていったそうです。

 わさびも消臭効果があるそうですが、なぜからしなのでしょうか?

「からしの原料となる“からし菜”はどこにでも自生しており、手に入りやすかったからです。当時でも高級品だった生わさびは自生地が限定されていますので、身近なからしが選ばれたのでしょう」(納豆連)

種子がからしの原料となる「からし菜」。どこにでも自生していて、からしは手に入りやすかった

 そして時代はすすみ、冷蔵庫が登場したことで低温保存が可能性となり、気温によってニオイが変化することもなくなりました。また、納豆本来のニオイをおさえた商品も多く販売されています。

「納豆にはからし必須派」の筆者。ここ数年、からしが付属していない納豆パックをよく見かけます。昔の記憶を掘り起こしても納豆パックにはからしが必ず付いていたと認識しているのですが……。からし無しの納豆が販売されているのにはどのような背景があるのでしょうか。

最近はからしを付属させない納豆パックも増加

「近年の“フードロスへの対応”と“製造コストの削減”の考えにもとづいています。『からしを入れるのは52.5%』と調査で判明しましたが、逆に言えば半数近い人は“からしを入れない”ということであり、納豆にからしを付属させても無駄になってしまうこともあります。また、近年さまざまなものが値上げ傾向にあるなか、納豆は販売価格をなるべく据え置くため、無駄になりがちなからしの付属をやめるというケースもあると考えられます」(納豆連)

 ほかにも「からし添付が商品販売のための付加価値フレーズにならなくなった」「商品の選択肢の増加」「子供向けには必要性を感じない」といった理由もあげられるそう。

☆☆☆☆

 そもそもはニオイ消しのための先人の知恵であった「納豆にからし」。今となっては完全に個人の好みであるということが判明しました。だとすれば、からし以外でも納豆に合う自分好みのスパイスや調味料を探してみるのもおもしろいかもしれませんね。

(取材・文=宮田智也 / 放送作家)

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