播磨國総社(兵庫県姫路市総社本町)に、新年の干支にちなんだ「卯(う・うさぎ)」をモチーフにした巨大絵馬(横約3メートル、縦約2メートル)が登場した。
地元・姫路市の日本画家、不動貴雄さんが毎年奉納している。2023(令和5)年の巨大絵馬に込められたメッセージは「兎(卯)のごとく躍動を」。
姫路ゆかりの戦国武将・黒田官兵衛にちなんだ個展を同社で開いたのがきっかけで、2016(平成28)年に始まり、8年目を迎えた。“干支ひと回り”まであと4年となる。
十二支を連続作品と見立てる不動さんは、干支を用いた12の神使(神の使い)として、天に向かって飛び跳ねる兎を描いた。題して『天翔翼兎(あまかける つばさのうさぎ)』。 兎にまつわる神話や歴史的な背景と考察などをふんだんに織り込み、日本での兎の逸話には欠かせない、”因幡の白兎伝説”と、そこに現れる大国主神(おおくにぬしのかみ・ 兵主大神の別名) を一つのテーマとした。
「総社(そうしゃ)さん」との愛称で悲鳴の人々に親しまれている播磨國総社の正式名称は射楯兵主神社(いたてひょうずじんじゃ)。射楯大神(いたてのおおかみ)と兵主大神(ひょうずのおおかみ)を御祭神として祀っている。
今回の絵馬で、不動さんは躍動感を強調した。昇龍のごとき雲に気運を込め、災厄を払い、疫病を防ぐ神「蘇民将来(そみんしょうらい)」の護りを腰に下げ、蒲の穂で空を薙(な)ぎ払う兎が描かれている。
絵馬には珍しく背景が真っ黒だが、不動さんは「十五夜の月を見て跳ねる」という、わらべうたの歌詞にもある日本的な情緒と芸術の自由な発想や思想をそのまま感じてもらいたいとメッセージを送る。
播磨國総社は、「ぜひ皆様に躍動する兎の大絵馬をご覧いただき、飛躍の兎(卯)年を迎えていただきたい」との思いで初詣の参拝客を迎え入れる。巨大絵馬『十二神使 天翔翼兎』は境内の長生殿(ちょうせいでん)で1月1日から秋まで一般公開される。