誕生から約160年「アリス」の魅力と影響力を紹介 あべのハルカス美術館で『へんてこりんな世界』展 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

誕生から約160年「アリス」の魅力と影響力を紹介 あべのハルカス美術館で『へんてこりんな世界』展

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 1865年に誕生した「不思議の国のアリス」。児童文学の枠を超え、美術、映画、舞台、ファッションなど、さまざまな分野に今日も影響を与え続けている「アリス」について紹介する展覧会「アリスー­へんてこりん、へんてこりんな世界­ー」があべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区)で開かれている。2023年3月5日(日)まで。(※イベントは終了しました)

展覧会「アリスー­へんてこりん、へんてこりんな世界­ー」

 昨年、英国のヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で開催された展覧会の世界巡回。今回の日本展では、V&A博物館と海外所蔵品を中心に、アリスの初期作品や関連資料、英国ヴィクトリア朝の時代背景をたどる品々に加え、日本人作家による絵画も展示、さまざまな角度からアリスを探求できる約300点の作品や映像演出が並ぶ。物語の世界に紛れ込んだような幻想的なインスタレーションもあり、美術館全体が年代を問わず楽しめる空間となっている。

 全5章で構成。第1章は、原作者ルイス・キャロル(本名チャールズ・ドジソン)がアリスを生み出したきっかけ、時代背景に触れながら、挿絵を担当した人気風刺漫画家、ジョン・テニエルの貴重な挿絵を公開。キャロルが知人の娘アリス・リドゥルとその姉妹に即興で語り聞かせた話が物語として成立していく過程をたどることができる。

 第2章「映画になったアリス」では、1903年のサイレント映画に始まり、各国で制作された実写作品、多くの人にとって「アリス」のイメージとなっているディズニーアニメまで、一部動画を交えて紹介。独創的で謎めいたアリスワールドを最新の映像手法で表現しようと試みた熱が伝わってくる。

 演劇やバレエなど、舞台で使用された衣装が並ぶコーナーも。原作のイメージとは異なる前衛的なデザインが多いものの、お話の中のアリスが持つ自立心や反骨精神が感じられ、違和感がない。図録に引用されている「他のおとぎ話のヒロインと違い、アリスには困った時に助けてくれる妖精も漁師も魔法使いもいない。頼りは自分の知恵と才覚だけ」との言葉がそれぞれの作品に重なる。

 舞台デザイナーのトム・パイパーが手掛けた「狂ったお茶会」と「チェシャ―猫」の映像インスタレーション(静止画・動画とも撮影可)も必見。そのほか、アリスが落ちるウサギの穴を思わせる“トンネル”や別世界へと続く“扉”、迷い込んだ“森の中”など随所に物語へと誘うしつらえが施されている。

 あべのハルカス美術館の横山志野学芸員は「物おじせず勇敢に立ち向かっていくアリスの精神は、ジェンダーや人種問題など平等を訴え行動を起こす人たちにも引き継がれている。南アフリカ共和国大統領への抗議活動で掲げられたプラカード『アリスにできたのだから私たちにもできる』という言葉は、女王にひるまなかったアリスの勇気を思い起こさせる」と語る。

 V&A博物館展示部門責任者のダニエル・スレーターさんは「この展覧会は単にアリスの紹介だけではない。ある人物の創造性がほかの人の創造性をどのように刺激するのか、そのプロセスがつぶさに見える内容になっている」と話した。


◆「アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー」
会場:あべのハルカス美術館(〒545-6016 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階)
会期:2022年12月10日(土)~2023年3月5日(日)
開館時間:火~金/10:00~20:00、月土日祝/10:00~18:00。いずれの日も入館は閉館の30分前まで。
休館日:12月31日(土)、1月1日(日)
観覧料(税込):一般1,800円、高大生1400円、小中生500円

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