【橋本】 すごいドラマティックな話ですよね……プロモーションの結果じゃなく、1人の人を感動させたことからヒットにつながるって、歌手にとっては本当にうれしいことだろうなと思います。それに、日本の音楽が海外でそこまで愛されてるって日本人としてもうれしいですね。
【中将】 インドネシアから派生したのか、「心の友」はベトナムなど東南アジア各国でも流行ったようです。どういう部分かはわからないけど、東南アジアの人たちに刺さる要素があるのかもしれませんね。
【橋本】 今回は音楽を通してとても大切なことを教わっている気がします……!
【中将】 最後にご紹介する曲は安全地帯の「あなたに」(1984)。「ワインレッドの心」(1983)が大ヒットしてブレイクした直後のアルバム「安全地帯Ⅱ」の収録曲ですね。
【橋本】 これも初めて聴きましたがいい曲すぎますね。この番組(ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』)が始まってから、いろんな安全地帯の曲を聴かせていただいていますが、シングルに限らずどれもクオリティーがすごいです。
【中将】 いい曲だしアルバムが大ヒットしたので安全地帯ファンにはおなじみかと思いますが、そこまでみんなが知ってるわけではないと思います。ですがこの曲、1980年代の韓国では知らない人がいないくらい大ヒットしていたそうです。
【橋本】 どんな経緯があったんでしょうか?
【中将】 韓国では1990年代末までポップスを含めた日本大衆文化の輸入を禁止していました。ですが禁止されたら余計気になるのが人情で、若者たちの間では不法コピーした日本のレコードやカセットテープが大量に流通していたんですね。特に高い音楽性と都会的なファッション性をもった安全地帯の人気はすさまじく、彼らをイメージした「安全地帯」というファッションブランドまで登場し、当時の若者のマストアイテムになりました。
【橋本】 そんなにすごい人気だったんですね! 日本でいうマドンナやマイケル・ジャクソン級の……!
【中将】 それくらいの人気だったので、韓国では「ワインレッドの心」「恋の予感」といったシングル曲だけでなく、「あなたに」などのアルバム曲も広く愛され、近年に至るまで数多くのカバー版が作られています。2016年に2PMのジュノが来日公演した時も歌ったそうですが、逆に日本のファンが何の曲なのかわかっていなかったなんて話もあります。
(※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2022年12月27日放送回より)