《阪神・淡路大震災28年》摩耶山に響く追悼の鐘、神戸の街に「今も”地響き”思い出す」「きょうもエールを」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《阪神・淡路大震災28年》摩耶山に響く追悼の鐘、神戸の街に「今も”地響き”思い出す」「きょうもエールを」

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 阪神・淡路大震災から28年を迎えた17日正午、神戸市街地が見渡せる摩耶山天上寺(神戸市灘区)で追悼の鐘が鳴らされた。

摩耶山天上寺・山門
摩耶山天上寺は、その名の通り釈迦の生母「摩耶夫人(まやぶにん)」と「十一面観音菩薩」を本尊とする

 天上寺では毎年1月17日、初観音の法要が営まれている。そして震災翌年の1996年から、世界各地の自然災害の犠牲者の供養として鐘が鳴らされるようになった。参列者は鐘をそれぞれ1回ずつ撞き、28年前の震災を思い出した。

 神戸市灘区の40代の男性は、当時中学1年生。「縦揺れで飛び起きた時の地響きと、様変わりした市街地の光景が忘れられない。今でも地震があると、28年前の地響きを思い出す。阪神・淡路大震災を経験したからこそ、怖さだけでなく、いざという時の備えを伝える使命がある」と誓った。

 神戸市東灘区の50代の女性は「震災で地域の人が助け合い、人の温かさを知り、人は1人で生きていけないことを教えてくれた気がする。しかし、今は新型コロナウイルスの影響で、コミュニティが分断されてしまった。こうした時代だからこそ、改めて人とのつながりを考えたい」と話した。

 兵庫県加古川市の70代の男性は、震災がきっかけでボランティアグループを結成し、神戸をはじめ被災地各地で数十回もの炊き出しに出向いた。「あの時、私たちがふるまった温かい豚汁を嬉しそうにすすっていた子どもたちはどうしているのだろう、一緒に手伝ってくれた若者たちは、社会で頑張っているのだろうかと思いながら鐘を撞いた。28年前、つい昨日のように思う。きょうもまた、神戸にエールを送りに来た」と目頭を熱くした。

六甲山上から神戸中心部を望む
摩耶山天上寺から明石方面を望む

 天上寺の伊藤浄真・副貫主は「阪神・淡路大震災発生当時の私たちは、天災を“他人事”と思い油断していた。変わり果てた神戸の街並みを前に、人間の無力さを感じた。しかし28年間、被災地に住む人々の小さな働きが大きな力となって、美しい神戸を取り戻した。追悼の鐘の音が、神戸の街に『この日を忘れるな』というメッセージと、今を生きている私たちの感謝の気持ちとなって響いてほしい」と話した。

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