その後、2014シーズンでは韓国代表MFチョン・ウヨン選手(現、アル・サッド/カタール)や元ブラジル代表MFシンプリシオ氏の加入もあって先発の機会が限られたが、そのなかでもJ1で28試合に出場するなど、チームへの献身的な姿勢が際立った橋本氏。在籍3シーズンの間、ガンバ時代と同じく、練習後や試合後に発する落ち着いたコメントは、わかりやすく状況を説明するものであり、メディアからも「橋本先生」と評されるほど。MF森岡亮太選手(現、シャルルロワ/ベルギー)、FW小川慶治朗選手(現、横浜FC)、DF岩波拓也選手(現、浦和レッズ)ら当時の若手に与える影響も大きかった。
神戸の地で、「チームとして目標が一致して戦う楽しさを実感できた。チームのポジティブな喜びだったり、前向きな姿勢のエネルギーというのは、 すごくチームにとっていいんだなということがわかった」ことで、「それをきっかけに、その後の自分が43歳まで続けられる原動力に変わっていった」という橋本氏。「僕は3年間とちょっと短い期間でしたが、そのなかでも温かい声援を送ってもらって、そのあとも神戸でも声をかけてもらうこともありますし、すごくいい時間でした」と、ヴィッセルのファン・サポーターにも感謝の思いを述べていた。
今後は、「J1、J2、J3の(チームで)優勝できる監督になりたい。日本一の指導者になりたいというのが今の自分の目標」という橋本氏。この1年間は「いろんなことを挑戦していきたい」と、サッカー解説や、神奈川県1部リーグの鎌倉インターナショナルFCのアドバイザー兼フットボールDXオフィサーとして活動し、知見を深めていくそう。もちろん、古巣のガンバだけではなく、ヴィッセルなど、過去の在籍クラブでの監督業にも興味を抱いているという。
「いまはどうやったら監督になれるかはわからないですが、ヴィッセルでもそういったポジションにいけたらいきたいなと。それまでにどう力をつけていければ、いまのビッグクラブになったヴィッセル神戸に関われるのかなというふうに今は思っています」(橋本氏)
橋本氏は、様々なクラブでの経験をいかして、「(クラブの)目指すべきサッカーに合わせて、『こういうものができますよ』という提案ができるような監督になりたい」と、未来像を語る。その卓越した頭脳、サッカー観、そして豊富なキャリアは、日本サッカー界に必要とされるものになるだろう。いつか大阪や神戸の地で采配を振るい、チームを高みに導く姿を見せてほしいものだ。