この穴は一体何なのか? 信楽陶苑たぬき村のスタッフさんに話を聞いてみたところ、この穴にはいくつかの目的があることがわかりました。
まず1つ目が、1200度にもなる窯に入れて焼く際に中まで火を通すという目的。2つ目は、陶器は焼き上げることで15パーセントほど収縮するそうで、その際に割れたり爆破してしまうことを防ぐために穴が空いているといいます。そして、釉薬(ゆうやく)をつけたり窯に運び入れるときに、持ち上げて移動させやすくするためにも穴が空いているのだとか。
たぬきの置き物について、さらに詳しく話を聞かせていただきました。
現在のたぬきの置き物は目がふさがれており、その上から釉薬で黒目を入れられているものがほとんど。しかし、目の部分に穴が空いている置き物もあり、それは昭和初期ごろに作られた古いタイプのたぬきなのだそう。
たぬきのなかには、顔の裏側に粘土で作られたU字の取っ手のようなものがついているものも。その昔、このU字部分に電球なんかを引っ掛けて、夜はたぬきの目を光らせていたといいます。
しかし、「たぬきの目が光っていることに気味が悪くなったのか、いつのまにか使われなくなったんです」とスタッフさんも笑っていました。
いずれにせよ、穴が空いているのは昭和初期に作られたたぬきの特徴だそうで、明石ポン太もその時代に作られた置き物なんですね。
2021年に4代目としてこの地に復活した明石ポン太ですが、この場所にやってくるまでの昭和から現在までの間に、世の中のさまざまな移り変わりを裏側から見てきたんでしょうね。ポン!
(『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)