こうした人たちの姿を、史朗が番台から見つめます。史朗はこの家と関係のないいづみが古めかしい風呂屋で働いているのが不思議で、何度も尋ねます。
「どうしてここにいるの?」
まるきん温泉は、井戸水を薪で沸かす昔ながらの銭湯で、亡くなった父親は“風呂で人を幸せにする”を信条としていました……。
映画『おくりびと』などで知られる放送作家の小山薫堂は日本の入浴文化を世界に発信しよう、とお風呂の正しい浸かり方を「湯道」と名付けて2015年から活動をすすめてきました。茶道・華道・柔道のように、理論や技術を「道」として体系化するということでしょう。雑誌「Pen」で味わい深い銭湯や温泉を紹介したり、一般社団法人として「湯道文化振興会」を立ち上げたり、本格的に活動しています。この映画化で、小山が脚本を書き下ろし、監督を鈴木雅之が務めました。
キャストは、主人公の史朗が生田斗真、弟の悟朗が濱田岳、いづみが橋本環奈です。小日向文世・天童よしみ・クリス・ハート・戸田恵子・寺島進・厚切りジェイソン・ウエンツ瑛士・朝日奈央・生見愛瑠・吉田鋼太郎・窪田正孝・夏木マリ・角野卓造・柄本明ら幅広いジャンルから集まっています。
今作は有馬温泉をはじめ関西各地でロケが行われました。ウエンツ瑛士が演じるイケメンディスクジョッキー・DJ FLOW(フロウ)のシーンは、ラジオ関西で撮影が行われました。
全国の風呂好きに知られるFLOWがパーソナリティを務める人気番組『今夜も浸からナイト』が放送されるシーンです。この番組に、源泉掛け流し至上主義を標榜する温泉評論家・太田(吉田鋼太郎)がゲスト出演する場面が今作のちょっとしたアクセントになっていて、編集者の植野(朝日奈央)が付き添う様子も含めラジオ関西の702スタジオで撮ったものです。