【鳥居さん】 タイガー商会の創業から約40年後となる、1960~1970年代ごろに最も売れたと聞いています。当時は、おもちゃ屋さんや駄菓子屋などで販売されていました。
なかでも特に売れていたのが縁日での夜店や露天商などで、実際に屋台で見かけたことがあるという人も多いのではないでしょうか。屋台で実際にコマを回す実演販売では、子どもたちのみならず大人たちも目を輝かせ、購入に至る人が多かったようです。ただ、当時はかなりヒットしていたこともあって縁日では偽物や模造品も多く出回っており、「宇宙ゴマ」はその最たるものでしたね。
――ヒットのきっかけは?
【鳥居さん】 露店や夜店などでの実演販売がきっかけで大ヒットしました。動いているところを見ないと地球ゴマのおもしろさは伝わりづらく、ただ店頭に置いているだけではなかなか売れなかったそうです。そこで、露店や夜店などで実演販売をすることで人々の興味をひくことが出来ました。
その後、1960~70年にかけてテレビCMや漫画雑誌などの広告を全国的に流し、その成果もあって日本全国で広く流行しました。当時は、数十万個ほど売れたと聞いています。
――どのような方が購入されていたのでしょうか?
【鳥居さん】 子どもというよりも大人が買うことの方が多かったみたいです。というのも、当時は1個およそ100~400円というおもちゃとしては高額で販売されていたため、子どもにとってはなかなか購入できるものではなかったのです。もちろん、不思議な動きをする地球ゴマを見て欲しくなってしまう大人も多かったみたいです。
――販売は国内のみ?
【鳥居さん】 1927年からはアメリカをはじめ、ヨーロッパ、東南アジアでも販売しており、海外にも地球ゴマを使っている人が多くいたんですよ。戦後、GHQの統治下にあった日本では多くの商品が販売を規制されていたのですが、地球ゴマは販売が許可されていたそうです。
――現在製造・販売されている「地球ジャイロ」とは?
【鳥居さん】 2015年にタイガー商会が廃業してから「途絶えてしまったジャイロゴマをなんとか日本に残したい」と思い、地球ジャイロを作りました。タイガー商会とタイガージャイロスコープは関係のない会社なのですが、リスペクトとその灯火を絶やさず次代に継ぎたい、という思いから「タイガー」を掲げて設立しました。