教科書で見たことがあるような有名な書物や地図や、あまり知られていない文字や言語などを集めた特別展「知の大冒険 ―東洋文庫 名品の煌めき―」が、京都文化博物館(京都市中京区)で開催されている。2023年4月9日(日)まで。
東洋文庫とは、東京都文京区にある世界五大東洋学研究図書館の1つで、1924年、三菱の第三代社長・岩崎久彌によって設立された。広大なアジアの文化歴史に関するおよそ100万冊の蔵書の中から、およそ120点を展示する。
アジア学・東洋学と言うと、中国・朝鮮半島、そして日本をイメージする人が多いかもしれないが、西はトルコの辺りまでが対象となる。展示された書物に記されている多様な言語からその広さを感じ取ることができる。そしてその書物はすべて本物。教科書で見たことのある書物の実物がそこにある。
1772年、清時代の『殿試策』(金榜筆)。官僚を試験で選抜する科挙試験(現在の日本の国家公務員試験にあたる)の最終試験の首席合格者の答案で、文字の美しさはもちろんのこと、全体の構成・デザイン、語句の配置の仕方などすべてにおいて美しいという。
マルコポーロの『東方見聞録』や、マリーアントワネットが所蔵していたとされる『イエスズ会士書簡集』。また日本にあったのが驚きという『大清聖祖仁皇帝実録』も。一方、あまり知られていない「文字」や言語、動植物に関する展示もあり、「新たな知」と出会える。
いずれの書物も、当時の風俗や文化を知ることができる貴重なものばかりで、「歴史」の1ページを見ることができる。
京都文化博物館の村野正景学芸員は「知らなかったアジアのさまざまな姿を見て、アジアの広大さを感じてほしい」と話す。
特別展「知の大冒険-東洋文庫 名品の煌めき―」
2023年2月21日(火)~4月9日(日)
京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
休館日:月曜日