ディック・ミネ、キャロル、サザンオールスターズ…日本のポップスに変革を与えた楽曲たち | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ディック・ミネ、キャロル、サザンオールスターズ…日本のポップスに変革を与えた楽曲たち

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【橋本】 一部、英語の歌詞が出てきますが、これも洋楽のカバーなんでしょうか?

【中将】 はい、当時、世界的に大流行していたポール・アンカの曲のカバーですね。

【橋本】 昔って現代よりも洋楽のカバーをする人が多いイメージです。どうしてなんでしょうか?

【中将】 欧米の音楽文化が圧倒的だったというのはあるでしょうね。日本はまだまだ後追いで、正直クオリティー面で劣ることが多かったんです。だから音楽ファンはみんな最新の洋楽をチェックして、それをカバーして日本風にすることがヒットにもつながりやすかったということですね。最近は日本の音楽文化も十分豊かになったので、そこまでホイホイと洋楽をカバーする必要がなくなりました。レディー・ガガのカバーなど知らないですもんね(笑)。

【橋本】 たしかに(笑)。

【中将】 でも、こういうカバーがあったから日本の音楽は少しずつ発展してきたんですね。特に、ジャズやロックのような洋楽的なノリに、いかに日本語をあてはめるかという試行錯誤は、現代のJ-POP文化が築かれる上で大きな学びになりました。

 この「ダイアナ」にしても、英語の部分をいさぎよく残しちゃったというのが、現代の歌詞に通じる大きなポイントだと思います。「日本語と英語が混じっててもいいんだ」って。

【橋本】 なるほど、J-POPの歌詞って、日本語も英語も混じっているのは普通ですもんね。

【中将】 その感覚が浸透するのに大きく貢献したもう一曲が1972年にリリースされたキャロルの「ルイジアンナ」です。当時、ニューロックのような洋楽に大きく感化されていた内田裕也さんは、「日本語ではロックはできない」と主張して、「日本語ロック」を標榜するはっぴいえんどの松本隆さんとの間で論争になっていました。はっぴいえんども悪くはないんだけど、語呂が悪くてどこか垢抜けない感じがあったんですね。でも、日本語と英語を巧みに混ぜこぜにして、巻き舌でロックンロールを歌うキャロルの登場で、「こういうスタイルでいいじゃないか」とみんな納得したわけです。

【橋本】 たしかに聴こえ方も現代のJ-POPにかなり近づいてきました。そういう論争や挑戦があって、少しずつ今あるポップスができあがってきたんですね!

【中将】 1970年代は日本のポップスがオリジナリティーの面でもクオリティーの面でも大きく飛躍した時代でした。それまでの日本人はどうしてもリズム音痴なイメージがありましたが、この頃になると8ビート、16ビートといった西洋的リズムが身に付いて、本場に負けないノリの曲もたくさん出てきました。サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」(1978)も、出た時は「日本語がおかしい」と賛否あったそうだけど、こういう曲が生まれたのは歴史的必然ですね。

【橋本】 「勝手にシンドバッド」は後追いで聴いた私でも衝撃でした(笑)。70年代当時ならもっと革命的だったんでしょうね!

ラジオ関西「中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス」収録風景

(※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2023年3月7日放送回より)


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